放課後にひょっこりやって来て声をかけてくるのは可愛い後輩…だったら良かったのだが。
「藤先輩、悠理くんのこと見ませんでしたか?」
自分は刺客だと言って憚らない金髪の男子と、その付き添いの女の子が現れた。 俺を訪ねてくるのはホントこんなヤツらばっかりだ。
「いないの?」 「うん」 「君らが分からないなら俺も分からないけど…」 「えー」 「貴様!善透様に無礼な口を…!」 「はいはい、いーから」
興奮気味に会話に割り込んできたサビ丸を押さえつけた。 目の前の二人は特に動揺した様子もなく、女の子は話を続ける。
「悠理くん朝からいなくて……書置きとかも何もないし……」
いつも三人一緒なのは知ってたけど、刺客なんていうからもっと殺伐とした関係なのかと思ってた。 しかし、本当に心配そうな表情を見て少し反省した。
「私達、今日の夜ご飯はどうすれば!!」 「そっち?」
心配は心配でも飯の心配かよ。 女の子は俺のツッコミをものともせず、「朝と昼は何とか凌いだけどっ」と切実な声色で付け足した。
「別にあんなヤツいなくていーだろ」
登場以来ずっとだんまりを決め込んでいた金が若干拗ね気味に言葉を発した。 本当に分かりやすいヤツだ。
「悠理くんの味を覚えちゃうと外食はキツイよ」 「君は一先ずご飯から離れようか」
一応つっこむが女の子には届かなかったようで、おろおろと慌て始める。 金は拗ねてるだけで何も言わないし、その光景はさすがの俺でも見るに見兼ねた。
「よかったらウチで食べる?」
ある種の諦めと同情から出た一言だった。 女の子の目が輝くのと反対に、隣にいるサビ丸の表情が固まる気配がした。
「コイツも料理は出来る方だし…」 「刺客に食わせる飯なんてありません!」 「いつになく正論だなお前」 「今日だけは刺客じゃなくて食客になります!」 「図々しい!!!」 【終】
ものすごく途中ですがこれでおしまいです。 原作のようなテンポ感がどうやっても出せないのでボツになったネタでした。
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