花音様から・相互記念




「……咲夏」

「……………」

「おい、咲夏、起きろ」

「……………」




昼下がりの午後、俺が少し出てた間にこいつは執務室のソファーで堂々と寝やがってた

…というか狸寝入り



「咲夏……」



俺は軽くため息をついて、咲夏の顔に自分の顔を近付けていき
軽く口づけた



「んー……おはよーっ」

「おはようじゃねえよ、また寝たふりなんかしやがって」

「バレちゃった…へへ」

「当たり前だ、毎回毎回…」



咲夏は最近いつも寝たふりをする
しかもキスをするまで絶対起きようとしない



「だってこうでもしないと、かまってくれないじゃん」

「…………」

「だから私は眠り姫となるのですよ、日番谷隊長殿」

そして眠り姫は王子様のキスじゃないと起きないのです
と付けたしてニコっと笑う


それは咲夏なりに考え出した、滅多に非番が合わない俺との時間の取り方であり、

…不器用な俺の愛情確認をしているんだと思う



「…眠り姫、仕事しろ」

「じゃあ、起こしてーっ」

「…はいはい」



俺は咲夏の手を取って、自分の方に軽く抱き寄せる


言葉では咲夏に上手く想いを伝える事が出来ないから

俺はこうして咲夏が求める俺の愛を行動で示す



「えへへ…ありがとう」

「ああ」

「……冬獅郎、好き」

「ああ」

「ああ、じゃわかんないよ?」

「……は?」



咲夏がこんな事を言うのは初めてで、戸惑った



「だから、私、冬獅郎の……気持ちが聞きたい」

「……………」

「…なんで黙っちゃうの?」



咲夏は
俺がどれくらい咲夏を愛していて、どれくらい大切にしてるか
わかっていると思っていた



「そんなの言わなくてもわかるだろ」

「…わかんないよ、私は冬獅郎がいつになったら言ってくれるのかなってずっと待ってたの」


「なあ…咲夏」

「…なに?」

「なんでキスって言うと思う?」

「…わかんない、どうしたの?いきなり」

「逆さまにすると…"好き"だろ?」

「…うん」

「好きな奴に、触れてえと思うから、そう言うんだ」

「…え…、…ん……んんーっ…」


俺は咲夏の頭を引き寄せて、いつもより熱いキスをした


息が辛そうに見えてきたので唇を離すと、顔を真っ赤にした咲夏がいた


「…っ、いきなり何するのっ」

「俺が咲夏にキスする時は、"好き"って言うのと同じだって事だ、…何回も言わせんなよ?
…咲夏、好きだ」

「〜…っ!冬獅郎っ」

咲夏は満面の笑みで飛びついてきた

「これで満足か?」

「うんっ…ありがとう!」


俺の腕の中で幸せそうに目をつぶっている咲夏を見ていたら、俺も眠くなってきた
それに気づいてか

「冬獅郎?こっちにおいで」


咲夏はソファーに座って、自分の膝を軽く叩いた


「…なんだよ」

「ひざまくらっ!」


そんな咲夏が可愛いくて、俺はめずらしく(?)咲夏の言う通り、遠慮なく咲夏の太ももに頭を置いた


「……自分で言っといて真っ赤じゃねえかよ」

「う、うるさい!!早く寝てよー」


反応が面白くて、もう少しいじめてやろうかと思ったけど
思った以上に寝心地がよくて、そのまま寝てしまいそうになった


「…姫のキスで起こしてもらうまで寝かせてもらう」

「えっ?!」

「いつも咲夏も同じような事言ってるだろ」

「〜〜っ!!」


咲夏はそれからも何か文句言っていたが、その声すらも心地よくて、俺はそのまま眠った


あろうことか咲夏もそのまま眠ってしまい、
俺たちが起きたのは日が沈んだ頃だった…



「…寝過ぎた」

「……うん………」

「まあ…たまには咲夏とこうするのもいいかもな」

「うん!あ…でも仕事どうしよう……」

「これは松本が溜めたやつだ、咲夏、帰るぞ」

「え?!…乱菊さんこんなにかわいそう…」

「気にするな、行くぞ」



ほら、と言って手を出すと咲夏はすぐ俺の手を握って、俺たちは隊舎を後にした





僕の可愛い眠り姫
(ねえ、ねえ、そういえばキスの話どこで聞いたのっ?)(…あ?そんなの俺が作ったに決まってんだろ)(………)



次の日、咲夏は一日中すれ違う人に冷やかされていた


でもこれで咲夏に悪い虫がつく事はないだろう


俺の可愛い眠り姫は

俺だけのものだからな






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咲夏様へ相互記念
死神、甘甘でしたっ!

なんかもうごめんなさいっ(´;ω;`)
これは甘甘なのかー…?
そして毎度毎度のこの駄文っぷり…
精進します(゚Д゚;;)

では咲夏さま、こんな私ですがよろしくお願いします!

2009.6.10.日向花音

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花音様、こんな素晴らしい小説をありがとうございます!!(感)

はい、こちらこそ駄目なヤツですがよろしくお願いします☆


2009/06/27