!外出
「うわぁ…!すごーい……」
「恭、楽しそうね」
「そうだな。少し話を聞いたんだが、あいつは今まで建物の中で暮らしていたらしい
だから外で見るもの全てが新鮮で珍しいんだろう」
「ジョット、どうしたんだ?」
微々たる表情の変化を見逃さなかったGがジョットに訊ねると少し間を置いてから口を開く
「楽しそうに過ごす少女の自由を奪っていたのは、俺達と同じ人間だと思うと、何だかな……」
「自警団の創設者がそれを言うの?恭はきっと大丈夫よ」
ショーケースに目を輝かせる雲雀を見据えてエレナの告げた言葉は確信めいたものだった
そんな彼女の意思にジョットは同意を示す
「あぁ、そうだな」
「ジョット、ジョット!」
ジョットに来てくれと言わんばかりに名前を呼ぶ雲雀に彼は近づく
「恭、何かほしいものでも見つけたのか?」
「うん!これ、可愛い!」
雲雀が嬉々とした表情で指差したものはショーケースに飾られた淡い水色のワンピースだった
「似合うんじゃないか?試着してみたらどうだ?」
「試着?」
「これを着て、サイズがあっているのか確認したり、似合っているか見ることを試着って言うんだ」
「へぇ……」
「試着室に行きましょう、恭」
「試着、試着ー」
雲雀が店内に入っていくのを見送ってジョットは先程まで側に控えていたGの姿が見えないことに気づき辺りをキョロキョロと見回す
「G?」
「悪いな、少し他の店に寄ってきた」
「どこに行っていたんだ?」
「コレだ」
Gが見せたものは懐中時計
彼の言いたいことを察したのかジョットはあぁ、と微笑んだ
「あいつもこれからは俺達の仲間(ファミリー)だからな。また近々写真でも撮って、この中に入れてやるか
だが、アラウディの奴が来るかが問題だな」
「あいつは来るさ。恭の為だとそのまま言ってやれば来るだろ」
「……なるほどな」
「お待たせー!あのね、エレナが似合ってるって言ってくれた!他にも色々買ってもらった!」
「それはよかったな。俺達も見るのが楽しみだ。なぁ、G?」
「あぁ」
「他に幾つか似合いそうなものを選んで買ってきたの。ここのお店、綺麗な服が多くて思わず自分の服まで買っちゃったわ」
買い物袋を掲げながらエレナは嬉しそうに告げると雲雀もそれにねー、と笑った
「じゃあ買い物も済んだことだし、そろそろアラウディ達も帰ってくるだろう」
「うん!」
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