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「はぁ……はぁっ、……はぁ。も、動けない……」
「は、口程にもないなモヤシ」
「さすがです、神田……。やっぱり剣だと敵いませんね」
「当たり前だ。さぁ、丸刈りになってもらおうか」
「無駄な動きが多いね、アレン」
修練場ではアレンと神田が組み手をしており、アレンの竹刀は原型を留めていなかった。それを見ているラビや雲雀、チャオジーたち
「やだなぁ、まだ《まいった》とは──言ってないでしょッ」
「ッテメ!」
「うりゃあッ」
「ぐっ」
「ああっ、神田先輩!」
「……別にあれくらい大丈夫だよ。ふぁ……眠い」
「雲雀先輩って、随分と神田先輩の力を買ってるんですね」
「そりゃ、僕の相手をできるからね」
「へっ?」
「僕の相手をするならあれくらいしないと」
雲雀が笑みを浮かべるとチャオジーは顔をひきつらせる。マリは雲雀の隣で相変わらずだと相槌を打っている。そんな中見ている観客たちとは別の声が割り込んできた
「あれー、珍しいね。あのふたりが組んでるなんて」
「おー」
「やぁ、ジョニー」
「もう動いて大丈夫なのか?」
「初めはただの剣術稽古だったんだけどね」
「あのふたり、ミョーにイライラしてて」
「「もうただの殴り合いになってるよ」」
「あの衝撃がよっぽど悔しかったんだろう。特にアレンの奴はあんな性格だからきっと抱え込んでいるんじゃないか」
「アレン……」
「んで、ジョニーは何しに来たんさ?」
「ん?団服の採寸しに来たの。ラビと神田とアレン、それから恭弥の」
「仕事してんのかよ!?」
「十代はすぐサイズ変わるからさー。おーい、アレーン、神田ぁ〜」
「相変わらず仕事中毒だね、ジョニー」
音が凄まじくなってきた殴り合いにマリと雲雀はため息をつきながら制止の声をあげる。
「コラ!いい加減にしろ」
「止めないとユウのこと嫌いになるよ」
「(ピクッ)…………」
「(今の言葉は神田にとっては一番効き目があるな。コムイにとってのリナリーの結婚と同じくらいの……)」
「ふぁいすん(採寸)?」
「あはははっ!」
「おお〜〜」
「ちっ、面倒くさェな」
「お疲れさまっス、神田先輩」
「やりすぎだ、お前ら」
「ユウも面倒とか言わないの。ジョニーがわざわざ来てくれたんだから」
「そういや、恭弥ってジョニーとやけに仲がいいな。何があったさ?」
「特に何もないけど……。敢えて言うならチェス仲間?」
「うん。恭弥ってチェス強いからオレとよくしてくれるんだ」
普段戦闘狂とも言えるくらいに雲雀がチェスをする様子が意外だと言わんばかりに周囲は驚きの表情を見せるが、その中でアレンがあ、と声を上げる
「ふぉうひぃぇば、ふぉうふぁあもひゅひょいでひゅひょ(そういえば、ポーカーも強いですよ)?」
「多才なんだな」
「クロスに背負わされたからカジノで稼がなきゃならないからイカサマの訓練をしただけだよ。チェスも賭けチェスがきっかけだし」
「じゃあ、アレンと恭弥が勝負したらどっちが強いんさ?」
「僕だね」
「ひょうひゃでひゅ(恭弥です)」
「恭弥だ。俺も何度か見てる」
「えっ、アレンより強いさ!?」
「うん。ちなみに今のところ、36勝0負5引」
「圧倒的じゃん!」
「まぁね。……ところでさ、嫌な気配がするんだけど」
雲雀はぎぎぎ……と恐る恐る首を捻るとそこは墓場の見える極寒。そこにいたのはアクマでもコムイでもなく、看護婦である婦長の姿
「そこの仕事中毒者とエクソシスト6名。だぁぁぁれが病室から出ていいと言ったのかしら?」
ぎくっ
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