「兄さんはどこ!?」

「リナ!待ってってば……!(相変わらず速い……!)」

早歩きで教団内を駆けていくリナリーの後を追いかけるように雲雀も駆け足で走っていた。そんな中リーバーが途中で制止の声をかけるが二人には届かなかった

「兄さんっ、アレンくんに中央の監視が付くってどういうこと?」

「!!……ぇ、ぁ……っ。な、んで…………?何でここに、ぁ………っ、」

「恭弥くん……ッ、リナリ……ッ」

「おや。こんにちは、リナリー。雲雀も久しぶりだ」

「気分はどうかね、  」


「!!何でお前がここに……ッッ!!」

「……ルベリエ、長官……」

「当分こちらに留まることになってね。そうだ、キミ達のイノセンスや身体についても検査させてもらいますのでよろしく」

バタンッ!と大きな音を立てながら扉が開かれ飛び込んできた姿にルベリエはほう、と声をあげる。その様子に神田が苛立ちを隠すこともなく雲雀の元へと駆け寄る

「恭弥ッ!!」

「おや、神田ユウ」

「……テメェ……。いや、今は……っ」

「自我や感情なんてもの、  、君には必要ないのだよ」

「……っ、嫌……っ、やめて……僕は、  なんかじゃない……!そう呼ぶな、僕は…僕は《雲雀恭弥》だ!!」

「(!幻聴現象か!)恭弥!」

「違う違うッ!お前らなんか……殺してやる……っ!」

雲雀は神田から身を引きながら足のホルスターに修理中である自身の烈火の代わりにしまっていた短刀を逆手に握り締めて、ルベリエへと走り出す

「ちっ……!」

「ルベリエェェェェ!!」

「恭弥、ここはお前のいた世界じゃねェ」

神田が身を翻しながら雲雀の手を掴み、ルベリエにナイフが届くのを止める。その手を解こうと雲雀は藻掻くが力が入らないのか振り解けずに藻掻くだけだった

「放せ……!放せ放せ!邪魔をするなぁ!!」

「おい」

「どうして、どうして邪魔をするんだよ……ユウ……。僕は、死にたくなかった……死なせたくなかった……っ。なんで、なんで僕なんだよ……なんで僕が貴方の……ねぇ……なんでなんで?どうして僕は──産まれてきたの?ねぇ、教えてよ、教えなよ……教えろよ……!!なんであいつを殺したんだよ!!」

激昂する雲雀に神田は絶句した。《あいつ》が誰を指すのかすぐさま理解した神田は顔を俯かせて歯を食いしばる。武器を落とした雲雀はそのまま縋るように焦点の合わない双眸で神田を見ながら涙を零していた

「────っ、俺は……っ」

「……もう、嫌だ……っ、いっそのこと殺してほしかった……!一緒に生きたかったのに……!どうして、あいつだけが死んじゃうんだよ!!どうして、生き残っちゃったんだよ………っ」

「……っ(俺が恨まれているのは知っていたはずなのにな)」

「私や中央庁の者に会うと決まってその現象が起こっているね。何か理由でもあるのかな?」

「ルベリエ……テメェには関係ねェよ。こいつをテメェら中央に渡すつもりはねェ」

落ち着く気配がなかった雲雀を手刀で気絶させた神田はそのまま崩れ落ちた雲雀を受け止めるとそのまま俵担ぎのように抱え、空いた手で部屋の扉を荒々しく閉めるとそのまま自室へと向かう


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