一方その頃───

「……っ、あ、れ……?」

「…………?」

カルテ・フォーロ、そしてスキン・ボリックと戦い、崩壊に巻き込まれた雲雀と神田はポカン、と口を開いていた。仰向けになっていた雲雀は起き上がりながら手を握ったり開いたりして現実か確認する

「生きて、る……」

「……みたいだな」

「よかっ、た……っ……」

「あぁ……恭弥が隣にいるんだよな?」

「うん。夢なんかじゃない……っ」

「泣くなよ、恭弥」

「だって……っ、」

ぶわっと目から大粒の涙を流す雲雀は神田に抱きつくと堪えていた涙が再び溢れてくる。神田もいっこうに泣き止む気配の無い雲雀に肩をすくめるが落ち着かせるように雲雀の頭を撫でていく

「(しばらくはこのままにさせておくか……)」

「……っ、もう大丈夫……ありがとう、ユウ」

「落ち着いたみてェだな」

「うん……」

「とりあえず、ここから出るか」

神田の提案に雲雀も同意して立ち上がり戻ってきた出口の扉がある建物へと向かって歩き出した。その途中雲雀はふと天井を見上げながら思い出す

「(……なんだか、懐かしい歌が聞こえた気がする……)」

《恭弥の悪魔ー!》

「……この声。つか、誰が悪魔だ、誰が!」

途中の階段でクロウリーを見つけ、意識は無いものの生きていることが確認できた為、神田が担ぐことになり。さらに上へと続く階段を昇っていた二人の耳に届いたのはラビの叫び声だった

《ユウのパッツ……!「(ピキッ)上等じゃねぇか、馬鹿ウサギ」

「そのまま一人で死んじまえ、Jr.!」

扉を開いたと同時にラビに罵声をあびかけた神田と雲雀。そこにはチャオジーも立っており、ラビはそのまま罵声も気にせず神田と雲雀へと駆け寄る

「おおっ、ユウッ!恭弥もいるさ!」

「チッ」

「死ね!一人で寂しく凍えて果てろ!」

「酷ぇ!?やっぱり悪魔さ!」

「あー……スッキリした!」

「ユウが担いでんのはクロちゃんか!?クロちゃーん!」

「落ちてたから拾ってきた。ねぇ、これどうなってんの?崩壊どころか来る前よりも綺麗なんだけど。まるで時間が戻ったような……」

駆け寄ってきたラビの腹部に蹴りを沈めながら雲雀は伸びをして周辺を散策していた。そこには崩壊の兆しが全くなく、白い街並みがただただ広がっていることに違和感を感じていた

「いって──!!やっぱ悪m「?何か言った?」

「……ナンデモナイデス。ってか、オレにもサッパリさ〜。コラーッ!出てこいっつの、モヤシ──!」

「白髪、出てきなよ。その髪の毛引っこ抜いてあげるから」

《誰がモヤシか、バカラビ────ッッ!しかもこれは白髪じゃありません!恭弥は何度言えば分かるんですか!》

「うおっ、アレン!?どこっ?」

「「チッ、モヤシの声が空から……」」

《アレンです、バ神田!バカ恭弥!》

「エリ……ア……デ」

「あっ、クロちゃんしゃべった!!」

「うるせェ……」

「でも……いいんじゃない?戻ってこれたし」

《おい、恭弥。無事か》

突如空から聞こえてきた声に雲雀は驚きを隠せず目を見開く。なぜならその声はこの2年聞くことのなかった声で、自分たちの目的の一つであるクロス・マリアンの声そのものなのだから

「クロ、ス……?」

《話がある。とりあえず馬鹿弟子にゲートを開かせるからこっちに来い》

「……どうせ、嫌だって言っても無駄でしょ」

「そういえば聞き損ねてたけど元帥と知り合いだったんか?」

「まぁね……。ラビが入団する少し前まで僕は教団から離れてて、その2年の間にクロスと出会ったんだよ。まぁ色々あって、ついでに教団に戻るきっかけも彼。そして僕に借金負わせた張本人もアレ」

雲雀が簡単に説明をするとラビはへぇ、と返しながら表情を少し消すがすぐにいつもの【ラビ】へと戻った。その表情の変化に気がつくのは誰一人としていない。そんな会話の間にゲートが開かれたのだった


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