「お前ら、先行ってろ」

「アイツらとは僕達がやる」

「「「!」」」

「うちの元帥を狙ってるノアだ。何度か見てる」

「僕の夢にも何度か干渉してきたからね」

ズウゥゥ……と地響きと共に再び地響き、地震が起こる。その地響きを感じながら方舟の中だと再確認する

「そうレロ。ここは、まだ新しい方舟へのダウンロードが完了してないだけの部屋レロ。ダウンロードされ次第、消滅するレロ!」

「レロったら喋りすぎィ」

「カ、カルテたま!」

「はいっ!僕も残ります、神田、恭弥!」

「アレン!」

「みんなはスキを見て、次の扉を探して進んで下さい!僕らもあとから……「お前となんて冗談じゃねェよ」

「神……っ」

「煩い。黙らないとその口、塞ぐよ」

「オレらが殺るつってんだ」

ジャキィィィン!

顔面を蒼白させるクロウリーとラビ、アレンに対して武器をそれぞれ構え直す。一方、神田は六幻でアレンの頬を通過させており、アレンの銀色の髪が少し切れる

「とっととうせろ。それともお前らから斬ってやろうか?あ?」

「あぁ、そんなに烈火の餌食になりたかった?だったら単刀直入にそう言えばいいのに。希望通り──第一制御、解除……」

「えっ、ちょっ……鬼や般若が出てるんですけど……」

「カ、神田さん……」

「ヒ、雲雀さんも……」

「ほ、本気……?」

「(こいつら、仲間脅してるレロー)」

「界蟲一幻!!」

「煉獄!!」

「どわ──っ」

「ちょっ?やめっ」

「神田!!」

「恭弥っ!熱っ、熱いさ!」

「痛ーっ」

「死ぬっ、死ぬよ!?」

「「ぎゃぁああぁああっ」」

ジュアアア……と地面が抉れ、命からがらアレン達は逃げる。そしてラビとアレンが大声で神田たちに対して叫ぶ。

「「かっ、神田(ユウ)と恭弥のバカ────!!」」

「殺す気か、アホー!!」

「人でなしっス」

「鬼畜め」

「鬼、般若!」

「み、みんな……神田と恭弥君は……」

「なんレロ、こいつら……」

「もー知らねっ。神田と恭弥なんか置いてってやる──────!!!」

「「はあ……」」

アレン達が口々に訴えていくのを見ながら神田と雲雀は顔を見合せ溜め息をつく。そんな2人にアレンとラビは未だ癇癪を起こしながらギャーギャーと声を上げる

「あっ、タメ息ついてるよ」

「オレらがつきてーっつーの!ったく、やってらんねーさ!」

「怖いッス、あの人達」

「なんて自分勝手なんだ!心配して損したのはじめてだよ」

「(も〜〜)神田っ、恭弥君っ」

「二人とも、ちゃんと、あとでついてきてね」

「「…………」」

「……絶対だよ」

返事をしない二人にリナリーはムスッと頬を膨らませてさらに声を張り上げると二人は肩を跳ね上がらせる

「返事しなさい!!」

「「Σ!!」」

「わ、わかったから、早く行け」

「(び、吃驚した……)……ちゃんとリナ達と合流するから……だから早く行ってなよ「おいおい、お前ら。ゴチャゴチャ、うるせェぞ」

雲雀と神田は渋々伝えると我慢できなくなったのかスキンが形態を変えていく。その背後でカルテがケラケラと笑いながら座っていた岩から飛び降りる

「スキンって短気ィ〜」

「(六幻)いくぞ」

「烈火、第二制御、解除……」

「ライ ライ ライ 雷!!」

「氷柱剣戟(アイス・ライン)!」

「行くぞ」

「(こくっ)」

「二幻──八花螳蝋」

「業火──旋回」

神田は六幻を奮いスキンに向かって剣戟を繰り出す。その背中で雲雀はトンファーを繋げ、一本の刀を作り出すと周囲に突風を起こす

「神田、恭弥……っ。追いかけてこなかったらぶっとばしますよ!」

「エクソシスト様、あそこに別の建物が!!」

チャオジーの言葉と共にアレン達はその場を離れて次の扉に入っていくのを一瞥しながら雲雀は口角を上げる。先程まであった傷口に手をかざしながらすぅ、と息を吸い離す。血が止まるのを感じながら目の前の敵へと向き直る

「(やっぱりこれじゃあ傷ひとつ無しか。頑丈にも程がある)カルテ・フォーロ……この前の借り、ここで返してあげるよ」

「大丈夫ゥ?恭弥ってば自分の命の残量、分かってんのォ?」

金色の髪を揺らしながら口元に手を当てながら嗤う。令嬢とは程遠いゲラゲラと、嗤いながら雲雀へと真っ直ぐ指を指す。

「命、大切じゃねェのかよ?」

「……無駄口叩く暇があったら、その左手に構えてる武器を向けなよ。君諸共咬み殺してあげるから」

「え、もう終わらせちゃうつもりィ?もっと遊ぼうよォ」

「誰が……「自分の正体、もう知っているんでしょゥ?」!!」

「神田ユウ、恭弥ってね、本当は──「言うな!!!!」……知りたいんじゃないのォ?」

舌を小さく出しながらも軽々と雲雀の攻撃を交わしていくカルテと打って変わって雲雀は冷や汗を流しながら怒鳴り付ける。尋常ではない様子から神田は一度雲雀へと視線をやるが気が付かない

「──《可哀想な恭弥》」

「っ!だ、まれ……っ」

「《神田ユウに成れなかった君》を可哀想って言わなくて、どう形容したらいいのォ?」

「何だと……?」

「クスッ……《神田ユウと雲雀恭弥は異世界の同一人物》ってやつだよォ。だから俺達は執着するんだけどさァ」

「……な、……で………?」

「ん?」

「なんで……今、言ったの……ユウに……っ」

「嫌わねェよ」

静かに、しかし凜とした声音で神田は告げた。怯えるように震える雲雀の頭をがしがしと揺さぶる

「!!」

「お前は雲雀恭弥だ。俺はそんなに泣き虫じゃねぇし、俺とは別に存在してるじゃねぇか」

「面白くねぇな《造られた使徒、神田ユウ》」

「テメェ……!どこまで知ってやがる……っ」

「さぁねェ?」

「……ユウ、僕……。……いや、やっぱりいい。……今は、君達ノアを倒すことに専念しよう。終わったら沢山ユウに言いたいことがある」

「ああ」

「だったら、俺もそのつもりでいってやるよォ。おい甘党、邪魔な《神田ユウを壊せ》」

「己に命令するな」

「じゃあ俺が貰うだけだ。恭弥、始めようぜェ?」



────END



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