「どこかに外に通じる家があるハズですよ!僕、それで来たんですからっ」

「ってもう何十軒壊してんさ!」

「無理レロ!この舟は停止したレロ。もう他空間へは通じてないレロって!!マジで出口なんて無……「煩い!僕はここで死ぬわけにはいかないんだ。黙ってなよ!」

雲雀を先頭にアレン達はレロへと攻撃した。その時

「危ないっ」

─ズア、と床が崩れて足元が無くなった雲雀が落ちかける。その間一髪で神田が雲雀の体を持ち上げる。

「……捕まってろ、恭弥」

「うん……、床が……」

「……っ」

「無いレロ……ホントに。この舟からは出られない。お前らはここで死ぬんだレロ」

「あるよ。出口だけならね」

「──、……っ」

「恭弥……?」

「出口ならあるよ、少年」

目を見開いて固唾を飲む雲雀の様子に違和感を感じた神田は覗きこむがなんでもない。と首を横に振る。その一方では眼鏡を掛けた青年がアレンに鍵を見せて膝をついていた

「「「!!」」」

「ビン底!!」

「え、そんな名前?」

「ななっ、なんで?なんで、ここにいんの!?」

「(そういうことか……)おい。そいつ、殺気出しまくってるぜ」

「……ノア……君達は一体、僕に対してどの能力を求めてるわけ。君といい、アイツといい」

「(能力?アイツ?)」

「いんや?俺はただ純粋にお前が欲しい。興味が出てきた、あれに関しては知らねぇけど。エクソシスト側にいるのは勿体ねぇぐらいだよな。それはそうと……少年、どうして生きてた……?
のっ!!」

アレンの頭に手を乗せたかと思うと思いきり額に頭突きを食らわせたその男。頭突きをされたアレンは額を抑えながら蹲る

「〜〜〜〜っつ、」

「千年公やチビ共に散々言われたじゃねェかよ〜」

「なっ、に、を、言っ」

「出口、欲しいんだろ?やってもいいぜ?この方舟に出口は、もうねェんだけど、ロードの能力なら作れちゃうんだな、出口」

そう告げたティキの背後からハート形の扉が地面から現れ、その扉を見たレロは声を上げ、雲雀は怪訝そうに扉を見る

「!!」

「レロッ、その扉は……!」

「うちのロードはノアで唯一方舟を使わず、空間移動ができる能力者でね。ど?あの汽車の続き。こっちは《出口》お前らは《命》を賭けて勝負しね?今度はイカサマ無しだ、少年」

「!」

「どっ、どういうつもりレロ、ティッキー。伯爵タマはこんなこと……」

「ロードの扉とそれに通じる3つの扉の鍵だ。これをやるよ。考えて、つっても四の五の言ってる場合じゃねェと思うけど」

ゴッ、と音を立ててティキの頭上にあった建物が崩れる。崩壊が始まった知らせも含まれていた

「ティッキ────!!」

「たっ、建物の下敷きになったである」

「死んだか?」

「こんなものじゃ死なない気がする、あの男……いや、ノアの一族は……」

「(恭弥……?)」

《エクソシスト狩りはさ……楽しいんだよね》

「……」

《扉は一番高い所に置いておく。
     ・・・・・・
崩れる前に辿り着けたら、お前らの勝ちだ》

「ノアは不死だと聞いてますよ。どこがイカサマ無しですか」

《あはははははははははは!!!》

「……何が可笑しいのか」

《っと、失礼。なんで、そんなことになってんのか知らねェけど、オレらも人間だよ?少年。死なねェようにみえんのは──お前らが弱いからだよ!》

ガラ、とティキの声が消えると共にアレンたちの足元も崩れ始め各々がバランスを崩したり、かけ出し始める。そんな中雲雀がふらりと崩れ落ちるようにバランスを崩し壁へと手をつける

「うわっ」

「ヤバイ、走れ。崩壊の弱い所に!!」

「……っく、……っ」

「恭弥!」

「傷口、開いたっぽい……っ、出血が酷い……。ちょっと待って……今から治すから「止めろ。それ以上、使うな」……なん、で……?」

「無駄に乱発するな。必要だと思った時だけにしろ」

「……、分かった……」

「走るぞ」

「うん」

雲雀は横腹の傷口を押さえながら神田に支えられるようにして走り抜けると崩壊がまだ起こっていない場所に逃げ込み、話し合いを再開する。口を開いたのはラビだった

「どーするよ……。逃げ続けられんのも、時間の問題だぜ。伯爵の言う通り、3時間でここが消滅するならさ」

「あと2時間レロ」

「どの道、助からないである!」

「……」

「少し我慢しろ」

「大丈夫……頭がふらついただけ。……ねぇ、ロードって奴、本当に空間移動とやらを出来るの?」

倒れた柱に座りながら雲雀は神田によって傷口に包帯が巻かれていく。雲雀は痛みで顔を歪ませるのではなく出血により貧血を起こしていた

「(痛覚を感じない分、貧血が起こるまでわからないのも考えもんだな)」

「はい。ロードの能力っていう空間移動は僕らも身に覚えがあります」

「うん」

「しゃーねぇ、ってか」

「ち……。終わったぞ」

「ありがとう。久々に治療してもらった気がする」

コートに袖を通しながら雲雀はぽつりと呟くと反応したのはアレンだった。その声に全員の視線が雲雀へと集まった
その視線を気にすることなく雲雀はコートのボタンを留めていく

「え、今までどうしていたんですか!?」

「治す必要があまりなかったからね。まぁどうせ倒れても貧血で倒れるくらいだし。で、この先はどうするの?」



「「「じゃんけんポン!!」」」

「え、早ッ!」

人数がいるにも関わらず一発で決まってしまった勝負に雲雀は思わず目を見開いた。そして負けたアレンがドキドキさせながらも近くの扉へと近づいていくと、この扉でいいか皆に尋ねる

「どれでもイイんじゃね?」

「とっととやれよ」

「さっさとしなよ」

「しかし、アレン。ジャンケン、弱ェな。しかも恭弥とユウが何気酷ェ」

アレンがティキの持っていた鍵を差し込むと扉がファンシーな模様に一変する。一度はみんなが驚いたがやがてアレンがスっと右手を差し出す。その手にリナリーやラビたちの手が重なっていく

「絶対脱出!です」

「おいさ」

「である」

「うん」

「ウッス」

「恭弥、神田〜〜……」

「やるか。見るな」

「いらない(なんか、この光景記憶な片隅に朧気にある。……似たことを前にやったことがある……?いやそんなまさか)」

「ですよねー……」

「行くぞ」

「……うん」

一歩踏み出した神田と雲雀に続いてアレン達も扉の中へと入っていく。その先に広がっていたのは外ではなく、部屋の中でありながら砂漠のような光景だった

「……ユウ」

「あぁ」

「!?神田?」

「シッ、黙れ」

「……いるね。しかも二人」

少し先にいるのはノアの一員である大柄の男、スキン・ボリックと細身の中性的な顔立ちをしているカルテ・フォーロ。2人の姿を捉えた神田は静かに口を開く

「お前ら、先行ってろ」

「えっ!?」

「ユウ?」

「アレはうちの元帥を狙ってて、何度か会ってる」

「あっちは……僕に何かと突っかかってくるんだよ。夢でも何度か会ってる。腹が立つくらいに」

「カッ、神田と恭弥君を置いてなんか行けないよ」

「勘違いするな」

「別に君達の為じゃないよ。僕は自分の為に咬み殺すだけ。ストーカーみたいに付き纏ってきてそろそろ腹が立ってきたんだ」

「アイツはうちの元帥を狙ってる奴だと言っただろ。任務(しごと)で斬るだけだ」


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