3
雲雀Side
ここはどこだろう……
目の前にあるのは白い空にはっきりと映る黒い月
手を伸ばせば届きそうな、真っ黒な月
周りにあるのは崩れた建物と屍ばかり
他にあるものは、何も無い
そんな中、ただ真っ白な空の下で独り、僕は立っていた
屍は全てエクソシストの団服を着ていて……一番近くにいたユウの背中に近づこうとすれば体が動かない
《行っては駄目……》
誰……。行かせて、ユウの所に、行かせて……!
《駄目。あなたは……》
「雲雀、どうした?」
「……っ、ゆ、め…………?」
椅子に腰かけて寝ていたらしく、目の前ではクロウリーとブックマンがチェスをしており隣には僕を覗き混むミランダの姿。無意識に伸ばしていたのか手が空を切る
「顔が真っ青よ……?雲雀君……」
「……何でもない。夢見が悪かっただけ……」
「本当に大丈夫か?」
「うん……。平気。嫌な夢だった。……ただ、それだけ」
「そうか」
流れる汗を拭ったその時──、あ、と突然声をあげて震え出すミランダ
「ど、どうしたであるか、ミランダ?」
「今……この船のどこかで連続して時間回復が起きてます」
「!時間回復が起こるってことは、まさか……」
「攻撃を受けてます!!」
.