「あの日から80年……グゾルは、ずっと私といてくれた。グゾルはね、もうすぐ動かなくなるの……。心臓の音がどんどん小さくなってるもの。最後まで一緒に、いさせて」

「……彼が死んだら自分はどうなってもいい、そう言いたいの?」

「そう……。だから、最後まで人形として動かさせて!お願い」

ララの請いに割り込んだのは雲雀でもアレンでもなかった。静かに体を起こしながら神田は口調を荒らげたまま、アレンへと叫ぶ

「ダメだ。その老人が死ぬまで待てだと……?この状況で、そんな願いは聞いてられない……っ。俺達はイノセンスを守るためにここに来たんだ!
──今すぐ、その人形の心臓を取れ!」

「!?」

「神田……?」

「俺達は何の為にここに来た!?」

神田の言葉にアレンはぐっと行き詰まるが自分は取りたくない、と静かに伝える。その様子に神田はアレンの体へと団服が投げつけられる

「その団服はケガ人の枕にするもんじゃねぇんだよ……!!エクソシストが着るものだ!!
……犠牲があるから、救いがあんだよ、、新人」

「神田、動いたら……!

「今は動ける。雲雀……お前の方が限界を越えてるだろうが」

「……っ、でも……これくらい」

「今はおとなしく寝ろ。頼む……無茶はしないでくれ」

雲雀を抱き締めながら神田は力無く呟くと雲雀は小さく頷きながら近くの壊れた柱へと身を預ける。少しだけ寂しそうな表情を見せながらも神田は再び立ち上がる

「雲雀は……」

「寝るだけだ。こいつの出血は致死量をとっくに越えてんだよ」

「雲雀は神田を心配して……ずっとここまで運んできたんですよ」

「(そうだろうな。……ずっと頭んなかで、恭弥の声が聞こえていた。だが、)……それで死んだら、意味がねェだろ」

その神田の言葉を聞きながら雲雀の意識は闇へと沈んでいく。その後アレン、神田がアクマとの戦闘をしていることも気がつくことは無かった


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