なかまとの軋み
「何だ、これ?どーなってる?終わりじゃないのか?」
「いや多分……Wait for the NEXT……だから、まだ……」
「え…………え?ゴメン……何が?それ英語?」
「は?……いや……うん……」
「え?栄治さん?」
栄治の言葉に周りが騒がしくなる。中学で習うような簡単な英語なので無理もない、周りからすれば分かって当然。のようなものだ
「Wait for the NEXT。次を待てって意味ですね
栄治は英語が苦手なんで……皆でフォローしてあげてください」
「お……お前クリス……」
「(うるさい……。それにしても4対3、ということはデスマッチか)」
周りと距離を置きながら雲雀は足組みして思考に耽る。さっきの綱引きに箱の数、それらを整理していたのは彼だけではなく他の面々も思っていたようで皆が天谷や雲雀へと視線を向けていた
ーー畏怖と感謝の意を込めながら
「次は絶対遅れないようにしなきゃだな。準備しとこう……」
「うんうん!次遅れたらマジで……」
「!ちょっと待ってください……。次って、いつですか?」
「「「え?」」」
「気がついたみたいだね」
「雲雀?」
「君たちはその状態のまま何分後か、何日か、何年後かわからないその次を待機するつもり?
全員がこの部屋を離れてる間にその時はくるかもしれない。考えるだけでも嫌悪感を抱くはずだ」
「エグいな……これ……。持久戦っつーか……消耗戦っつーか……体力も……精神力も……ハンパないぞ、この負担……この戦い……確実に……今までで一番キツい」
瞬が今回の戦いに関しての整理をしてからも全員が寝ないようにと待機しながらも、寝そうになる小太郎、貧乏揺すりが止まらない栄治にそれに対してイライラしてしまういちか、マイペースなクリスに全員のストレスが溜まってしまい乱闘も始まる
その一方でソファで目を閉じながら精神を統一しつつ喧騒を耳に入れないようにとしていた雲雀はふと静かに口角を上げると小便小僧が開始の合図を知らせる
しかし彼らの番ではなく、他のチーム同士の戦闘。そして再び喧嘩が始まり瞬が皆に休息を促した。ーーハッタリを含めながら。その本人も途中で寝てしまいテーブルに突っ伏してしまったその時に雲雀は天谷の近くへと立つ
「お前は、きつくないのか」
「なに、突然」
「直射日光浴びるのも辛いってやつがこんな持久戦耐えきれんのか?」
「そりゃ、紫外線だらけのところに放り込まれるよりは随分楽なものだよ。2週間飲まず食わずで牢屋にいたこともあったし」
「マジ?」
「うん。忍耐が大事な仕事もあったからね」
「つかお前、あまり学校にいないだろ、普段何してんだよ」
「知り合いの父親の手伝い。簡単に言えばマフィア」
「へぇ、だからつぇーのか。納得」
「怖くないの?」
「なんで?」
「なんで、って……いや、君みたいなぶっ飛んだのに聞いたのも間違いだった。……ただ生きようとする者とは違うって言ってたね」
「聞こえてたのか。お前は違うんだろ?」
「……生きようとするよりも、帰らなきゃならない理由が僕にはある
何せ、泣き虫な男の子が待ってるんだ。……絶対に生きて帰る。そのためなら何を犠牲にしてでも、悪魔や神にでも手を貸す」
「(それだけじゃない気がするんだよな)」
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