コケシから◯◯◯◯◯◯◯◯へ


「……なあ、雲雀。一つ聞いていいか」


「ん?答えられる範疇なら」


「……俺たちのところに刑事が来て、【雲雀恭弥は存在しない】って言われたんだけど、これはどういうことなんだ」


「…………」


「答えられないなら、「僕は亡霊のようなものだ」は?」


「雲雀恭弥は7年前に一度死んだ
母親も父親も殺された誕生日に僕の生は終わりを告げた
ちなみに学籍は作ってもらったけど、戸籍は消えてるよ。手を回してもらったから。だから戸籍を調べる刑事はみんな口を揃えて言う【雲雀恭弥は存在しない】ってね」


何か厄介事の度に言われるから慣れた、と付け足して雲雀は口角を上げながら答えると高畑は罰が悪そうに顔を伏せた


「それで復讐とか、やっぱり「間違ってる、でしょ。わかってる」


「だったら何で!」


「復讐しても両親は報われない、育ててくれた家光さんも喜ばないし、9代目もいいとは言わないだろう
でも、僕が前に進むにはこれしかない。じゃないと本当に僕は屍や亡霊でしかなくなる気がするんだよ」


「雲雀……」


「高畑はそのままでいいと思うけどね。人ってのはみんな思考や思想が違うからこそこの文化や世界が成り立ってるんだから
……ねぇ、上にあるやつが扉?」


雲雀が立ち止まりながら天井に指を指すと高畑が着いたぞ、と皆へと告げる
そこには【連帯】と【8】と書かれた扉、その真ん中には小さな鍵穴があった


「これが【扉】」


「…………マジだ…」


「よし…俺が手伝おう!!力仕事には自信がある!!」


「……連帯、ねぇ」


大柄の男子、英治が高畑を肩車すると鍵穴にコケシ型の鍵を差し込み、皆に確認を取ってから鍵を回すと扉がゆっくりと開く
そこから出てきたのはロープのようなもの


「何…?」

「ロープ?」


「何だよ、これ。どーすんだ…?」

「昇るしかないんじゃない?」

「……?大丈夫ですかね、昇っても……」


「高畑、迂闊に触ると何があるか…「うぉ…。わあああああ!!!」……言わんこっちゃない」


ため息を吐きながら手で顔を覆う雲雀を他所に高畑はロープに引っ張られて扉の中へと吸い込まれる
仕方ないと言わんばかりの表情を浮かべながらも取り残されるわけにはいかず、ロープのようなものを掴んで雲雀も高畑の後を追いかける


「瞬!!?引っ張られてる!?昇っていってるよ!!?」


「掴め、皆!!掴め早く!!!置いてかれるぞ!!」


「わあああああああ」


「え!?ちょ待って!!?ウソ…!?待って!!?私まだ…ああ…………」


奥と前田、平井にクリス、そして天谷と皆が掴み扉へと入っていく中秋元は掴めずその場で狼狽えていたが天谷が秋元の腕を掴む


「え。!?あ…!?」


「仲間だもん、ね♪」


【終〜〜〜了〜〜〜
高畑 瞬、雲雀 恭弥、奥 英治、平井 翔子、前田 小太郎、秋本クリストファー健人、天谷 武、秋元 いちか
生きる。】


「(光!?外…!?)」


「……っ!眩し……」


雲雀はロープから手を離しながら突然やってきた光に右手で目を覆うと空いた左手で辺りを手探りしているとその左手を天谷が掴んだ


「おい…。雲雀、どうした?」


「天谷…だよね」


「そうだけど、目にゴミでも入ったのかよ」


「……いきなりの光は駄目なんだよ、僕。サングラスなんて今持ってないし眩しくて仕方ない」


「はぁ?そんなに眩しくねーぞ」


「…人以上に光を浴びてしまう病気だから。普通の人だと車のライトを目の前で浴びてる感じを想像してくれたらわかりやすいってさ
……やっとまともになってきた…」


「アルビノってーの?あれ、ヘビとかキレーだよな」


「そういいもんじゃないよ、光の調節はできないし日の下で行動できないし皮膚癌になりやすいしで大変」


自分を支えていた天谷の手を離しながら雲雀は戻ってきた視界で辺りの状況を見回していた


「何ここ!?」

「外じゃねェのかよ、マジか………」

「建物が、4つずつ…」

「あの真ん中のラインは何だ?」

「これは…土……?砂?」

「もしかして……これ、あの大きい四角の中とかじゃないですか?」

「どっちみち、終わりじゃないみたいですね…」

「真ん中の【KEEP OUT】に合計8つの建物……」


「あ…」


《オ〜〜イェス!!!》


「あ!!?」


「は?」


《オ〜〜》


「「「「「え!!?」」」」」


《イェ〜〜ス!!》


「!!?……Oh,No…」


ロープのようなものがずるずると戻った先には叫んだしょうべんこぞうの股間部分


《オ〜〜イェス!!!オ〜〜イェス!!!》


「!!?」


《OK!!お前ら一回集合オーイェイ》



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