〜空色の手紙〜
「…今何時だ」
長期休暇に入り、煩い生徒達が各々帰省し、存分に研究に没頭していたセブルス・スネイプは、数時間ぶりに視線を本から上げた。
上げた拍子に首がゴキッと鳴る。
地下牢の研究室には窓は無く、朝からずっと薄明かりの中で研究をしていたため、彼には今時間の感覚が無かった。
食べ逃したのは朝食だけか、それとも昼食もなのか、自分の腹の空き具合では今ひとつ分からない。
実際は夕食までも逃していたのだが、彼は平気そうである。
「…まぁ、いい」
結局またすぐに研究を再開した。
コンコン
次の日の朝、帰省しているはずの教え子が一人、スネイプの研究室を訪れた。
「…なんだ」
研究に熱中するあまり徹夜してしまったスネイプは、不機嫌を全面にアピールしている顔で扉を開ける。
「先生、お久しぶりです!今日、凄く良い天気ですよ!宜しかったら外でご飯でも食べませんか?」
真夏の太陽も霞むほどの笑顔でそう言った教え子、名前を見下ろし、眉間を寄せる。