* * *


夕暮れ時、ダンブルドアとスネイプは肩を並べて校庭を歩いていた。
オレンジ色の暖かい光が降り注ぎ、2人の顔を明るく照らす。

「あいつは父親の再来だ。毎晩罰則を与えても足りない――」
スネイプのただならぬ形相とは裏腹に、ダンブルドアは疲れた面持ちで一瞥している。
彼がジェームズ、果ては息子のハリーをなじるのは、決して珍しい事ではない。
選ばれし者ハリー・ポッターがいかに凡庸な少年か つまびらかに説明したところで、スネイプは ようやく立ち止まった。
2人は禁じられた森の近くまで来ていたのだ。

「君が儂を殺したあとに、セブルス――」
「あなたは、私に何もかも話すのを拒んでおきながら、そこまでのちょっとした奉仕を期待する!」
誰もいない静寂の森の入り口で、スネイプの怒声が響き渡る。
怒るスネイプと一言、二言 言葉を交わしたダンブルドアは、夜の11時、部屋に来るよう静かに告げた。どれだけ彼を信じているか、どれだけ彼を頼っているか、一言一句 伝えるために。


* * *



校内は依然ピリピリしていた。
ケイティ・ベルに託された呪いのネックレス、ロンが飲んだ毒入りオーク樽熟成蜂蜜酒……いずれもダンブルドアに届けられる手筈だった。

緊張漂うホグワーツの廊下を歩き、地下牢に続く石段をかけ降りる。
呪いだか毒だか知らないが、名前はスネイプに会いたいのだ。

「名字、また君か」
「スネイプ先生、また君、です」
名前は満面の笑みを浮かべ、仏頂面の教師に歩み寄る。
机上には生徒のレポートが散乱していた。
評価はまずまずといったところ。スネイプが優秀と認める生徒は極少であり、その選ばれたうちの1人が名前である。

念願だった闇の魔術に対する防衛術に就任するも、研究室だけは明け渡さなかったスネイプ。
じめじめした暗い地下より、アンブリッジやルーピンが使っていた部屋に移ればいいのにと、名前は何度も提案した。
しかしスネイプは聞き入れず、少女もしまいには何も言わなくなってしまった。



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