「ちょーだい。」って言ったら渋々手渡されたカップには紅茶が底みえかけぐらいしか入ってなくて、一気に飲み干したら苦くてよけい喉かわいた。
「…スネイプ外行こうよ、外のが涼しいよ。」
「おまえは自分の宿題の量みてから言えよ。何でこんなに多いんだ。」
「ため込んでたからですー。」
「うわしばきたい。」
「…さっきの間接キスになるのかなぁ。」
「なるんじゃないか。ほんと建設的な会話ができないなおまえ。」
「ごめん…急に恥ずかしくなってきた。」
「………。」
図書室でレポート広げながら二人で赤くなってるとか何なの。ちょうど窓からみえた外の木陰でカップルがチューしてるし。恥ずかしいなぁもう。
「…あいつら公衆の面前で、頭おかしいな。」
うんざりした顔でスネイプがこっち見た。
「一年間何もなかった僕らもおかしいけどな。」
「……………………さ、レポートしようか。」
「名字、」
だって恥ずかしすぎてスネイプの顔見れない、何もなかったのは好きすぎて何もできなかったからだもん。
気まずくて外を見たら雲ひとつない青空だった。もしスネイプとそういうことしたらまた違った見え方するかなぁ、もっと綺麗に見えるかなぁ。
もうスネイプはレポートに集中してて、この話題を避けてるあたしに気を遣ってくれてるんだ。あたしは甘えて、いつまでも前に進めない…それにひきかえあのカップルはいつまでチューしてるんだ、羨ましい。
スネイプのおかげでどんどんレポートがはかどって、あと一枚になった。窓から夕日が差し込んで、この一枚が終わったらきっとばいばいの時間。明日も会えるのに寂しくなった。
「スネイプ、ありがと。」
レポートのお礼を言ったら、ぎゅっと手を握られた。
「僕はな、名字が死ねって言ったら死ねるぐらい好きだ。」
「死ねとか、」
「なぁいつになったらキスさせてくれるんだ。」
ってスネイプは言ったあと目をそらした。じっと窓の外を見てる。真っ赤な夕焼け空だった。
「…明日晴れたらとか、どう?」
そう答えたらスネイプはびっくりした顔でこっちを見た。恥ずかしくて顔が熱いけど、見つめあってた。
青春だなぁって本の中の偉い人が笑った。
明日雨降ったらどうする?
…無理矢理してやる。
バニラの隔膜のように触れたら惚れて腫れて破裂してしまうよ