嫌がる名前を引っ張って、無理やり外へ連れ出した。
「今日は雲ひとつ無い快晴だっていうのに、地下にばっかりこもってちゃカビが生えるよ」
『大きなお世話よ!大体スリザリン寮にまで入って来るなんて頭がおかしいんじゃないの?』
「まあいいじゃないか」
『良くない!嫌いなのよ!こんな空なんて見たくない、あんたもよポッター!もう私にかまわないで。近づかないでよっ・・・』
僕が彼女に興味を持ったのは5年生の時。
スニベリーにちょっとした呪文をぶつけていたら、それをいとも簡単に撥ね返してきたのが名前だった。
それ以来姿を見かけるたび、ちょっかいを出したり、軽いいたずらをしたり。
それはスニベリーに対するような悪意のあるものじゃなかったけど、たまに見せる彼女の悲しげな表情はまるで霧雨のように僕の心を濡らした。
僕はただ、近づきたかっただけなんだ。
グリフィンドールと敵対する寮の君。
つながりを持つにはそうやって、子供じみたことをするしかなかった。
なぜそこまでして名前と居たかったのか。
あの頃の僕は自分の気持ちにまだ気付いていなかった。
そしてやっと気付いたときにはもう遅かった。僕には・・・、リリーがいる。
僕を嫌いだと言って走り去った君に、今更手を伸ばしてももう届かない。
ずっとずっと好きだった・・・。
ポッターはまるで夏の青空だ。深い水色の空。きらきら輝いて、まぶしくて、私の目を見えなくする。
掴みたくても遠すぎて、この手はあなたにかすりすらしない。
どれほど願っても、居もしない神にすがっても、あなたは私のものにはならない。
空にはもう、赤く燃える太陽がいるから・・・、私の居場所なんてないんだよ。
ジリジリと私を焼き尽くしてしまう。
だから、大嫌い・・・。
この空も、あなたも。嫌い。
・・・・・・・
もっと早く、素直に好きだと言えたなら君に(あなたに)この手が届いただろうか。
空を見上げて問いかけてみても、もう返事は返ってこない。