また夏が来た。


「セブルス〜どうして夏は暑いの?」
「知るか夏に聞け。」
「夏さーん。どうして暑いんですか?」
「………。」
「………。」
「無視されたよセブルス!」
「お前って最高なバカだろ。」
「最高でバカ?褒めてるのかわからないねそれ。」
「明らか褒めてないだろ…。」

外では虫が鳴いている。
ミーンミーンだかムンムンムーンだか。
暑いのに加えこのサウンドは苛々させるな。
それなのにあたしの隣にいるこの男は涼しげな顔して本を読んでる。
なになに、薬草とどうやって付き合っていくか、だと!?
セブルス気色悪い!
何で薬草とうまく付き合わなきゃいけないの!
どんだけ薬草が好きなんだよ!
あんなの鍋にポイでグルグルするだけじゃん!
やばいこの暑さでセブルスもイカレちゃったんだ!!


「あ、セブルス見てみて!」
「なんだ。」
「入道雲!」
「お前はいつも楽しそうでいいな。」
「失礼だな。まるであたしが悩みがないバカみたいじゃん。」
「まるで、じゃない。」
「じゃあしかくで。」
「意味がわからない。」
「セブルス石頭だもんね。」
「それ意味違くないか?」
「そう?」

入道雲がでてきたってことは夕方は雨が降るのかもしれない。
今はこんなに真っ青な空も夜には涙を流すのかな。

「随分ロマンチストなんだな。」
「純粋なだけだよ。」
「確かに頭は純粋だよなお前。」
「セブルスは腐ってるもんね。」
「腐ってない。」
「草ってる?」
「なんかイラついた。」

あたし達はこうして毎日くだらないやり取りを続けてる。
きっと来年の夏も再来年の夏も。
セブルスの頭には薬草のことしかないしあたしの頭にはセブルスのことしかない。
セブルス気付いてる?
あの雲あたしの気持ちにそっくりなんだよ。

「セブルスって鈍感だもんね。」
「は?」
「何でもない。」
「鈍感なのはどっちだ。」
「何?」
「いや。」



きっとこいつは気付いてない。
僕は本を読むふりしてお前を見ていることを。
だってこいつはいつも空を見てるから。僕ではなく空ばかり見てるから。
お前が愛おしそうに眺める空を僕は壊したくてしょうがないんだ。






夏は僕らを狂わす


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