ダイニングテーブルに並んだ、美味しそうな料理の数々に思わず生唾を飲み込んだ。美味しそう。ホテルのディナーと言ってもおかしくないくらいだ。
「お口に合うかわからないのですが…どうぞ召し上がってください。」
「い、いただきます!」
初めてお邪魔する人の家で、こんな豪勢な料理をごちそうになるとは思わなかった。ナイフとフォークの使い方に自信がないんだけれど…なんとかなるかな?
「おおっ…このスープ美味しい!ローストビーフも柔らかくて…ほっぺたが落ちそう。」
「良かったねV、大好評じゃないか。」
トロンさんも美味しそうに食べている。…あの仮面をつけたままで器用に食べるんだなあ。

なんて、おだやかな夕食の最中だった。

「今帰ったぞ。」

身体が強張った。聞いたことのない男の人の声。そうか、テーブルに置いてあったナイフとフォークは、もうひとりの家族のものだったんだ。食事の手を止める。恐る恐るダイニングの入口を見ると、私と同じ年くらい、もしくは年下の男の子が立っていた。

「…おい、誰だよこいつ。」

そりゃ普通はそういうリアクションをとりますよね。困惑して言葉が出ない私の代わりにトロンさんが一部始終を説明してくれた。



20140711
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