「ねえ。」 「ちょっと。」 「もう夕食できてるよ。」 目が覚めたら目の前にトロンさんがいて。 「わぁ!」 ビックリしてベッドから落ちてしまった。 「あっははは、君おもしろいねぇ!びっくりしたの?」 「ご、ごめんなさ……。」 「謝らなくていいよ。さ、夕食ができてる。」 そう言ってトロンさんは手を差し伸べてくれたので、お言葉に甘えて手を取らせてもらった。白い手袋はとても高級なものなのだろう、とてもさわり心地がよかった。 「Vが心配していたよ。いくら呼んでも返事がないからって。」 「…あはは、すみません、つい眠っちゃって…。」 「疲れていたんだろう。夕食を食べてお風呂に入ったら早く休むことだよ。」 私のことを気遣ってくれているのだろう。トロンさんという子は本当ただの子供じゃない気がする。本当何者なんだろう。でもよそ者の私が入り込んでいい話ではないだろうから、この好奇心は胸の奥にしまっておく。 「Vったら張り切って料理してたからね。楽しみにしておくといい。Vの料理はおいしいからね。」 リビングへ続く廊下を歩きながらトロンさんは上機嫌に言った。 20120731 |