お屋敷に帰ると、Xさんが私のために部屋を用意してくれていて、さっそく案内してくれた。 「たくさん買ってきたんだな。」 「あはは…お世話になります。」 「気にしなくていい。」 Xさんはそう言うとごく自然に私の荷物を持ってくれた。あまりに自然すぎてリアクションできなかったくらい。 「…ありがとうございます。」 「構わない。」 通された部屋はとても広い部屋だった。Xさんいわく、ここは客間、お客さんがお泊りするときに使う部屋だそうだ。それにしては調度品も豪華だし、ベッドも大きくてふかふかしてるし、高級ホテルの一室みたいだ。 「夕食の支度ができるまでここでゆっくりしなさい。」 ぽんっと頭を優しく撫でてくれた。…まるで本当のお兄さんみたいだ。 「…本当に、ありがとうございます。」 Xさんは柔らかくほほ笑んで、部屋を後にした。 とにかく買ってきた荷物を整理しよう。よくこんなに買い込んだな…一生分の買い物をした気がする。服やら下着やらを備え付けのチェストに収納し、小物類をベッドサイドのテーブルに置く。 夕食の支度って誰がしてるんだろう。Vくんかな?お手伝いに行った方がい いかな。Vくんのことだから「お客様なんですから」って言いそうな気がする…。 おとなしくXさんの言うとおりゆっくりさせてもらおうかな。ベッドにゆっくり寝転がる。目を閉じたら、スーッと意識が落ちて行った。 20120728 |