ここで待ってて、とでっかい屋敷のでっかい部屋に通されてしまった。男の子はさっさと部屋から出て行ってしまったので、やたら広い部屋に私一人が取り残されてしまった。
とても高級そうな装飾品が飾られ、置いてあるテーブルとイスも豪華そう。座ることもせず部屋をきょろきょろ見ている私のところにさっきの男の子が戻ってきた。
「紹介します、X兄様とトロンです。」
そこにいたのはすらっと背の高い長髪の男の人(イケメン)と仮面をかぶった三つ編みの子供だった。
「初めまして。話はVから聞いた。なにやら事情があるようだな。」
「異世界からきたかもしれない…なんて、とても興味深いよ。」
あはは…と乾いた笑いを浮かべ、私も自己紹介することにした。
「ユツキといいます。大学生やってます。趣味はゲームとデュエルです。」
ぺこり、とお辞儀をすると男の子はハッとした顔をした。
「まだ名乗っていませんでしたね…僕はV。よろしくお願いします、ユツキさん。」
Vっていうんだ。数字が名前なのか、気にはなったけれど気にしないことにした。
「僕としては君の話を詳しく聞きたい。どうだい?この屋敷に住む気はない?」
トロンさんが提案し、Xさんは小さくうなずいた。
「その方がいいと思う。君はこの世界の人間じゃない可能性があるからな。ひとりで暮らすとなると、いろいろ大変だと思うぞ。」
「え、でも、いいんですか?見ず知らずの私がごやっかいになって…。」
そういうとVくんはにっこり笑顔で言った。
「トロンがいいって言うんだから、僕は構わないですよ。」

トロンさんって何者なんだろう…。
かくして私はこのお屋敷にお世話になることになった。



20120614
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