「わぁ、すげー可愛い!」 声が聞こえた方を振り返ると茶髪の若い男の人が私を見ていました 「世良さん、何やってるんすか。」 「ね!赤崎この子可愛くない?」 世良さん…と呼ばれる男の人は赤崎さんっていう男の人と私を交互に見ています 「はぁ…世良さん、今日は違う用事で来たんすよ。」 「ごめんごめん!ちゃんと探す探す!」 「結構遅くまで開いてる店ってここくらいしかないんだから、早くしてくださいね。」 「はいはい。…ごめんね、じゃあね。」 赤崎さんに怒られて、世良さんはごめんねと小さく私に告げて遠くに行ってしまいました こういうことはよくあることだけど、世良さんの目が悲しそうで私は忘れられませんでした 世良さんが来て何日かたったのですが、あれ以来世良さんは来てくれません 私だけ世良さんのことを忘れられなくてなんだか失恋したようです 隣人に相談したとき そんな男は忘れなさい と言っていたけど私はすぐに気持ちを切り替えられるタイプではなかったようでなかなか忘れられません 相談に乗ってくれたのにごめんなさい 「こっち見た!可愛いー!」 今日も新しく来た人が私を可愛いって言ってくれます ガラスを挟んだ向こう側を見てみると、少しお金持ちそうに見える家族が私の説明を聞いているようでした 私はこの人たちの家族の一員になるのでしょうか? 「すみません!」 いつも遊んでくれるお兄さんがどこかから走ってきて裕福そうな家族に謝っています お兄さんたちは移動しながらしゃべっていたのでその後がよく聞き取れませんでした 多分私のことなのに私が分からないのはちょっと嫌な感じです 今度はお姉さんが走ってきて私のガラスに何かシールを貼っていきました 貼られる面しか見えないので私はシールに何て書いてあるか分かりません 皆さんシールをチラッと見て残念そうな顔をして去っていきます 私何かしてしまったのでしょうか? 皆さんから残念がられる意味が分からずモヤモヤしたのでふて寝していたらいつも遊んでくれるお兄さんが私のことを抱き上げました こんな時間に珍しいなあと思っていたらドアの近くからこっちに小さい茶髪の男の人 …世良さんが向かってくるのが見えました 「お待ちしておりました!」 「すみません!ちょっと遅くなっちゃって。」 「いえいえ、大丈夫です!」 お兄さんと世良さんは楽しそうです 「お前良かったなー、今日から世良さんがお前の飼い主だぞー!」 お兄さんが私を持ち上げながらそう告げて私の体は次に世良さんに預けられました 世良さんに今初めて触れたけどすごく落ち着きます 温かいです 「ほんと可愛いっすよね!俺この子とこの間初めて目があったとき運命感じましたもん!」 「ははは、多分この子もそう思ってますよ。すごく嬉しそうな顔してるんで。」 ガラス越しに感じた運命 私は嬉しかったので世良さんの顔を一回舐めた 隣に住んでいたプードルさんに この間言ってた人に飼われることになりましたよ と合図したら少し笑ってくれたような気がしました ---------- わんこ! ペットショップ行って動物見ているうちに思いついた産物ですw 私はマンションなので飼えないんですけどねorz しかしわんこネタは初めて書きましたw 恋愛だけじゃなく、いろいろなものが書ければと思っているのでこういう話が書けて良かったです。 あ、最初世良が赤崎と来ていたのは動物飼っている友達に何かプレゼントするために買いに来たって設定です一応(笑) 0630*那智 |