「掃除するぞ掃除!」 俺の声に賛同してくれた娘が「おー!」と大きな声を上げて腕を伸ばした 今日の夜にはこの間注文したソファーが家に届くはずなのでそれまでにこのリビングの一角を占領している娘のおもちゃなどを片付けたい 掃除というより片付けをしたいわけだ俺は おもちゃはしっかり一角に集められているものの、娘が年齢を重ねるごとにだんだんとてつもない量になってきた 年齢に合ったもの、娘たちの世代で流行っているもの、その変化がめまぐるしいこの年齢でおもちゃが増えていくのは当たり前のことだった 「とりあえず"いるもの"と"いらないもの"に分けるぞ。いらないやつはこっちの袋に入れろ。」 「はーい!」 娘は勢いよく手を伸ばして返事をした 元気で無邪気なところは性格が俺よりなまえに似たせいだろう そう考えながらゴミ袋を持っているとその中に使わなくなったおもちゃやぐちゃぐちゃになった雑誌のふろくなどがどんどん中に入ってくる 「パパー!ぜんぶおわったよ!いらないのはふくろにポイしたー!」 「えらいな。」 元気よく両手を上げた娘の頭を撫でる 子供ってなんで頭を撫でるとこんな嬉しそうな顔をするんだろうな 娘がこんなに喜ぶと俺も少し幸せな気分になる 「ん?あそこに置いてあるやつはいらないやつじゃねーの?」 きちんと整理されたおもちゃばこの上に乗っている汚くはないが古いおもちゃが目に止まった それはこいつの年齢では使わないようなものだった 「お前がこれで遊んでんの最近見たことねーけど。」 「ぅ、」 それを掴んで娘の目の前に出すと言葉を詰まらせた 娘が言葉を詰まらせたと同時に玄関の方からガチャガチャと鍵を開ける音が聞こえなまえが娘の幼稚園での用事を終えて帰ってきた 「ただいまー。」 「おかえり。」 「おかえりーまま!」 「理事会延びちゃって、遅くなっちゃったごめんねー。あれ?おもちゃ片付けたのー?すごい綺麗になってる!」 「あぁ、さっきから2人でやってるんだ。」 「ぱぱといっしょにやったー!きれいになったー!」 「わあ!偉いね!」 なまえが頭を撫でるとまた娘は嬉しそうな顔をした 「あ!お前これは?」 なまえが帰ってきたから一瞬忘れてたが俺は自分の右手に握られていたひとつのおもちゃの存在を思い出してまた娘に問いただした 「そ、それは!す、すてちゃだめなのー!」 「なんで?」 「だって、ぱぱが…」 俺の目を見ていた丸い目がキッチンに移動していたなまえに視線を移動した 「ん?どうかした?」 「こいつがこれを捨てたくないって言うんだけど、なまえなんか知ってるのか?」 「あー!それは良則さんが買ってくれたおもちゃ!」 「…俺これ以外にもおもちゃ買ってるよな?」 「ちがうよ!これはぱぱがはじめてかってくれたおもちゃだってままが!」 「ふふっこのおもちゃ私が良則さんに子供が出来たって言ったらまだ女の子かどうかも分からないのに女の子向けのもの良則さんが買ってきたものだよ、覚えてない?」 「…あ、」 思い出した 生理が来てないとか具合が悪いとか言い出したなまえが病院に行ったらやっぱり妊娠していたことが判明してその電話に喜んで何故か一番におもちゃを買いに行ったんだった、俺 買ってから女児向けって知って落胆したんだよな 結果女だったからよかったけど 「それをこの間この子に話したらそのおもちゃを出してきて飾るようになったの。」 「へー。」 だからさっきもおもちゃ箱の上に置いたのか なんかすごい嬉しくなって勢い良く娘の頭を撫でた はじめてのプレゼント 「ここに見たことないおもちゃ落ちてんだけど。」 「それはせらくんにもらったからだめ!ぱぱかえして!」 「この間クラブハウスの前で良則さん待ってるとき世良くんがくれたのよ!」 世良には一言言っておく必要があるようだ ---------- 子供とほのぼの綺麗好き堺さん 娘出来たら甘々だと思います。 そして娘は世良と仲良し!笑 世良は子供と仲良く出来そう^^ 0601*那智 |