青い枷

「……ようやく、目を覚ましたようだな、フリーナ」
 上から聞こえてきた声は氷水のように冷たく、そして岩の塊のように固い。
 声の主が誰であるか、ということに僕が気付くまで、少々の時間を要した。
 ここは一体何処なの、僕は何故ここに居るの、と声を絞り出す。けれど、彼は何も答えてくれない。薄暗い部屋の中で、彼の瞳ばかりがぎらりとした鋭い光を放っている。
「私のものに、なってくれるか」
 代わりに発せられたのは、そんな台詞だった。
「え……?」
「いや、私だけのものに――なって、くれるだろうか……?」
 彼の声が更に冷たくなる。彼が何を言おうとしているのか、僕に何を望んでいるのか、どちらも分からない。理解が追いつかない。ただひとつ分かるのは、今の彼は、僕のよく知る彼とは、大きく違っているということ。
 ――逃げなければ。一刻も早く、ここから逃げなければ。それも、出来るだけ遠くに。
 本能はこのように告げている。僕は寝台から上半身を起こそうとした。しかし、気付くと両腕に青い枷が嵌められていて、そうすることが叶わない。ぎり、と双方の手首に痛みが走る。
「うっ……」
 眉を顰めて、彼を見た。苦痛に歪む僕の顔を見下ろす目。それは爛々としており、一種の狂気を孕んでいるのは、すぐに分かった。ヌヴィレット、と何とか僕が彼のことを呼ぶと、彼はひとつ頷いて、枷の嵌め込まれた部分に手のひらを重ねる。彼の大きな手は、想像通り冷たかった。全身に震えが広がっていく。
「君のことを、手放したくないと、私はそう……強く願ってしまった」
「えっ?」
「君はあの舞台を降りた。自分の足で、何処にでも行けるようになった。一般人となった君は、我々の国を離れて、遥かに遠い異国へ行くことも……出来るようになった。私は、そのことに気付いた途端――」
 酷く恐ろしくなったのだ、とヌヴィレットは告げる。淡々とした声だが、そこにはまた別の意味を纏わせているかのような、そんな声に聞こえた。
「ぼ、僕は何処にも行かないよ。そもそも、キミがフォンテーヌ廷にあの家を用意させたんじゃないか。僕は、だからこそ、あの家で新しい生活を送っていて――」
「ああ、それは君の言う通りだな。だが、半年後はどうだろうか? 一年後は? 十年後は?」
 ずっと、あの家に居続けるとは、君も断言出来ないだろう、とヌヴィレットは言った。
「だから、僕を、こんな風に囚えたの……?」
 僕は彼を見て、そして周囲を見る。殺風景な部屋だった。そして、とても奇妙な一室でもあるように思えた。どうしてだろう、と考えて、すぐに答えへと到達する。そう、この部屋にはひとつも窓が無いのだ。全てを遮断しているのだ、外界から。
「……私だけのものになって欲しい」
 彼は僕の問いかけには答えず、先程と殆ど同じ台詞を口にした。
「……」
 胸の奥がズキンと痛む。僕はずっと、彼に惹かれていた。魔神フォカロルスを演じていた頃から。つまりそれは、非常に長い間、ということになる。僕は自分の正体を、ずっと隠してきた。その引け目はあったけれど、数百年を彼と紡ぐ中で、ヌヴィレットが一番の存在になっていった。だから、彼が僕を好いてくれているのが事実であるのならば、それはとても嬉しい。
 だが、今の彼が僕に向けているそれは、些か歪んでいる。手放しで喜べるものではなかった。だから、彼の願いを受け止めることは、出来そうにない。
「フリーナ」
 黙する僕の名前だけを、ヌヴィレットが口にした。
「……ヌヴィレット。僕も、キミのことが大切だ。好きだよ、キミのことが。ずっと前から」
 でも、と一度言葉を切る。
「この世界は、僕とキミのふたりきりで出来ているわけじゃない。……キミも、そう分かっているだろう? 人とは違う存在でありながら、人間社会へと溶け込めたキミならば」
「……つまり、私の望みは叶えられない、と?」
「キミが、自分と僕だけの小さな世界を望んでいるというのなら、そういうことに、なる……のかな」
「……そうか。そういうことか、フリーナ」
 ヌヴィレットの目から、すっと光が消えた。
「ならば、君の考えが変わるのを待つとしよう。時間など、幾らでもあるのだからな」
 彼はゆっくりと言った。まるで、呪うかのように。ひっ、と僕の喉から情けない声が出る。怖い。途轍も無く、恐ろしい。僕の目の前に居る彼は、僕の知っている彼ではない。ヌヴィレットは僕に覆い被さり、僕の顔をじっと見下ろした。至近距離に、彼の整った顔がある。そこに嵌め込まれているのは、氷のようなふたつの瞳。何を、と言いかけた僕の唇が奪われた。
「ふっ、あ……」
 角度を変えて、何度も口付けられる。手枷が嵌められ不自由な僕には、抵抗することが出来ない。いや、もし、この手が自由に動かせていたとしても、彼と僕とでは力の差など歴然で、いまと同じ結果に至るだけだったかもしれない。やめて、という言葉を吐くことも出来ず、僕は繰り返される口付けに、大粒の涙を落とす。これは、ヌヴィレットのことが本当に好きだからこそ、溢れ出る涙だった。もっと自然に、穏やかに、想いを通わせることが出来ていたら――叶うことのない甘い願いは、音も無く、雪のように溶けていく。
「ヌヴィ、レッ……」
 流れた雫に彼の指先が触れる。
「いやだ、よ……、こ、こんな、の……っ!」
 やっと開放された唇。それが形作る台詞に、ヌヴィレットが暗く笑うのが見えた。本当に嫌だと言うのか、と淡々とした口調で問われて、僕は何も答えられない。動けないままの僕を見下ろすヌヴィレットが、改めて僕の名前を呼んだ。応じない僕に、彼は再び口角を上げる。
 本当のことだけを言うといい、フリーナ。そのように告げながら、ヌヴィレットは青い手枷を外す。両方の手首には、拘束された証とも言える痕が、痛々しく残されており、その箇所がじんじんと疼いた。彼は言っているのだ――逃げたいのなら逃げてみせるといい、と。本当に私が嫌だと言うのなら、拒んでみろと。けれど僕は動けない。まるで足元を縫い付けられた人形のように。風切羽を無惨にも切られた鳥のように。
「……逃げないのか、フリーナ」
「う、あ……うっ……」
 返答の代わりに、出てきたのは嗚咽だった。僕にはもう、咽び泣くことしか出来ない。ヌヴィレットのことが好きだ。誰よりも彼のことが好きだからこそ、こんなにも歪な形で結ばれるのは嫌だ、と。僕は、キミのものになりたいとずっと願っていた。けれど、こんな形で叶うのは嫌だ、と。そんな想いは声にならず、ただただ虚ろな目から涙ばかりが溢れる。
 泣く僕を見る彼の視線は、先程と大差無い。僕の目尻から溢れ、頬を伝う涙が、彼の舌先で舐め上げられた。妙な感覚が全身を雷のように駆け巡り、「あっ」と声が上がる。彼がまた笑っているのが見えた。ほう、君はこの私のことを好いているのか、と低い声で囁かれる。
「……伝わってくるな。君の抱いている感情の全部が」
 水龍である彼は、すべてを読み取れるらしい。涙の一滴で、何もかもを。
「……もう、やめてっ、やめてよぉ……! ぼ、僕っ……」
「本当にやめて欲しいのか?」
「だ、だって……こんなっ……」
 こんな形で、想いが通うなんて。好きだからこそ、この結末を受け入れることは出来ない。受け入れてはならない。僕はそう思った。これ以上は、駄目だと。この愛が、確かなものであっても。
「……だが、私はそれでも――」
 君が欲しいのだが、と耳元で告げられた。ああっ、とまた甘ったるい声が出て、僕の頬がかっと熱くなる。それに、君も欲しいと言っているようだが、と付け加える彼の声が、どうしてだろうか、遠く聞こえる。
「んっ、あっ……ふぁ……」
 また唇と唇が触れ合った。それを深く何度か繰り返されて、隙間から溢れた唾液がいやらしく光る。僕は、やめて、とヌヴィレットの胸をどんどんと叩いた。だが、彼にその懇願が届く訳もなく、抵抗になるという訳でもなく、唇が貪られ、首筋には赤い印が何個も刻まれ、胸元も呆気なくはだけられた。
「ひっ、あ……ッ」
 彼の生暖かな舌が、僕の左胸を舐め上げた。素っ頓狂な声があがる。ヌヴィレットが喉を鳴らすのが聞こえて、僕はもう、自分たちが戻れないところまで来てしまったことを悟った。ああ、僕は、誰よりも愛おしい筈の存在と、こんな歪んだ世界で肌を重ねようとしている――。本来なら拒むべきだ、どんな手を使ってでも。この先に進んではならない。けれど、彼と結ばれる瞬間を、渇望する自分も居た。ああ、なんて、愚かな。僕の目から光が消える音が微かに聞こえた気がした。
「……フリーナ」
 彼が僕のことを呼んでいる。うん、と頷くことも出来ない。彼はぎゅっと僕を抱きしめて、首に唇を寄せた。改めて刻まれるそれは、僕が彼のものだという証なのかもしれない。
「愛している。私は、君のことを……いや――君のことだけを、誰よりも深く」
 これをもっと優しい世界で聞いていたのなら、僕はその世界で、一番の幸せ者だった。大好きな存在と、募らせ続けていた想いを、見事に通じ合わせたということになるのだから。
「だから、君のすべてを――私にくれないか」
 ヌヴィレットは僕の纏う衣服を、丁寧に脱がしていく。僕はただ、されるがままだ。この先で待ち受けるものが何であるかも、分かっている。分かっているのに、僕は抗えない。いつかそういう日が来るのかも、と漠然と思った日は、正直言って何度かあった。僕はずっと彼が好きだったし、彼以外の誰かを好きになることも、一切無かったからだ。そう、ヌヴィレットはいつでも僕の一番だった。
「ふ、あっ……」
 広げられた足と足。その間に、彼の視線が落ちてくる。恥じらう余裕すらない僕のそこへ、ヌヴィレットの指が伸びてきた。じゅく、と水音が聞こえたかと思うと、彼が薄く笑うのが見えた。まるでずっと私のことを待っていたようだな、と言いながら、人差し指が捩じ込まれる。異物感と、それとは異なる感覚が身体中を走り抜けていき、僕は甲高い声をあげて涙を落とす。否定の言葉など、ひとつも出てこない。
「――フリーナ」
 彼の声が聞こえる。僕のことを呼ぶ声が。だが、僕は何も答えられず、涙のせいでぼやけた視界にあるヌヴィレットのことを見上げている。ああ、どうして、こんなことになってしまったのだろう。僕は間違いなく彼を愛していて、彼も僕を愛しているのだと言う。重なり合った想い。それが幸福な気持ちだけで構成されたものであったのならば、どんなに良かっただろうか。
「あっ、あぁ……」
 情けない声ばかりが溢れた。ヌヴィレットの長い指が、奥を何度も突いている。粘ついた音が響いてきて、身体中が熱くなっていく。僕は認めざるを得なかった。彼が僕に与えているのが、快楽であるということ。そして僕自身が、それを拒んでいないということ。そのふたつを。
 更に流れ落ちる涙を、ヌヴィレットがまた舐め取る。その行為ひとつで、彼は僕の思考を読み取ってしまう。なるほど、君もこれを望んでいるのだな――もう少し素直に言えばいいものを。降りかかるそんな言葉に、やはり僕は何も言い返せない。
 奥を攻める指が、一本、また一本と増やされて、僕は悶えた。聞こえる水音も大きくなる。あっ、ああ、と漏れ出る僕の声は酷く上擦っており、彼が意味深に笑う様子が見えた。そろそろ頃合いだろうか、という声が聞こえてくる。靄の広がった思考では、それが何を意味する言葉なのか、理解するのにも時間がかかる。しかし、その答えが導き出されるよりも先に、ヌヴィレットが改めて僕を呼んだ。
「――嫌か?」
「え……」
 足された問いは、とても単純なものだった。
「私と、ひとつになるのは」
 彼のそれを、脳内で反芻する。いまここで、僕は何と答えるべきなのだろう。どうしたら、彼に僕の気持ちが伝わるのだろう――そんな思考を巡らせながら、ヌヴィレットのことを見る。僕が誰よりも愛しく想える存在。ずっとずっと、惹かれていた人物。時の流れの中、周りの何もかもが変わってしまっても、彼への想いが変わってしまうことは、一切無かった。
「……い、いや、じゃない……。僕だって、キミのことが、好きだ……けど」
 キミと、キミの周りにいる人達がいるから、この世界は素晴らしいものになるんだよ。
 僕とキミだけしかいない世界は、最初こそとても幸せかもしれないけれど、きっと冷たい風が吹く時だってあると思う。だから――。
 想いは、湧き水のようにこんこんと溢れてくる。そんな僕のことを、彼がじっと見下ろしている。
「こんな、形で……キミは、本当に……いい、の?」
「……私はな」
 ヌヴィレットは低い声で答えた。
「だが、君が私と同じことを望まないのならば……無理強いは出来そうにない」
 ここまでしておいて、やはり私は酷い男だな、と目を逸らしながら彼が呟く。途端にまた、様々なものが込み上げてくる。涙が止め処無く溢れる。その雫は、先程とは違って、彼の指先でそっと拭われた。
「……ヌヴィレット」
 改めて呼ぶと、また目と目が合った。彼の眼差しの鋭さと冷たさは、若干和らいだように見える。
「……キミの、望むままにして。僕の、ことを……」
「……」
「僕が、キミを好きなのも、キミを求めているのも、事実だ。僕の全部を貰ってくれるのも……キミじゃなきゃ、嫌だよ。だから……僕を、キミだけのものにして……。最後まで……して……?」
 このテイワットの大地に、どれほどの存在があっても、僕が心の底から愛する存在は――ヌヴィレット、キミだけだから。僕は声を絞り出す、少しだけ掠れてしまったような、そんな風に自分にも聞こえたけれど。
「もう、戻ることは出来ないが……それでも、構わないのか?」
「うん……、その代わり……僕のこと、絶対に……手放さないでね。ヌヴィレット」
 世界に絶対なんて言葉は無いと知っていた。だが、敢えて僕は、その言葉を使った。彼にならば、使う覚悟が持てたから。
「ああ――私の、フリーナ……」
 もう一度、唇同士が触れ合う。それは、仄かな甘さを感じる口吻だった。んっ、と漏れた息。それと同時に涙が頬を伝っていく。僕は、彼のことを愛している、海よりも深く。そしてこれはきっと永遠になる感情なのだろう。
「ヌヴィ……レット、僕も、キミが――」
 好きだよ、と言いかけた唇が塞がれた。すべて分かっている、という視線が落ちてきて、僕はそれに全てを射抜かれてしまう。ああ、僕らは、これから。そう思うと、体の奥から痺れが姿を見せて、それが爪の先まで広がっていく。
「ん、あ、ああ……」
 胸元を弄られたかと思うと、その後、彼の大きな手は下方へ落ちていく。触れられた部分は、火が付けられたかのように熱くなっていく。やがて濡れたそこへ指が伸びてきて、高い声が出てしまう。さっきとは手付きが違う。先程は、快感を強引に刻むだけだったのに、いまは、慈しむかのように優しく触れられている。甘い刺激が細部にまで駆け巡る。
「ひっ、ああ、あぁ……!」
「良い、のか……?」
「う、あぁ……」
 彼の太い指が、弱いところを突いている。言葉を失うばかりの僕に、どうやら良いようだな、と彼が呟くのが聞こえた。かあっと顔が熱くなる。恥ずかしい。でも、気持ちが良い。それは、怖くなるくらいに。彼へ向けた視線を、徐ろに動かす。すると僕の目に彼の半身が映り込んでしまい、ひ、と声が上がった。ヌヴィレットが困ったような表情に変わり、僕は咄嗟に目を逸らした。
「もう少し、解す必要があるな」
「え……?」
 彼は「すまない」と何故か謝ると、反応に困る僕を置き去りにし、指を勢い良く引き抜いた。ひあっ、と情けない声を出す僕のそこへ、何かが触れた。更に声が漏れ出る。その「何か」は、彼の温かな舌だった。何度もそこを執拗に舐め回される。今までとは大きく異なった感覚と快感に、全身が震える。僕にはもう、喘ぐことしか出来ない。
「あっ、ああ、あ、だめっ、だめだよ……」
「何がだ? フリーナ?」
「ひっあぁ! そ、そこで、しゃべ……らないでぇ!」
 波が押し寄せてくる。すべてを押し流す波が。
「ああああッ!」
 なお高い声が、窓のない部屋に響き渡った。荒い息を何度も吐き出しながら、彼を見る。ヌヴィレットの顔は僕から離れていて、一定の距離を置いたところからまじまじと見下されている。
「フリーナ」
「う……うん」
「そろそろ限界だ。……良い、だろうか?」
 低く、囁くように告げられる。
「……うん」
 僕は答えた。僕を、キミでいっぱいにして、と。身体の彼方此方が熱い。爛れていく。その瞬間を待ち侘びていた、と認めるのは恥ずかしいことだったが、紛れもなく事実だった。僕はずっと彼を好いていたのだから。ヌヴィレットが頷くのが見える。ただ鋭いだけではないふたつの瞳は、僕の心を、容易く奪ってしまう。彼がそれを僕の濡れたところへとあてがった。思わず、ひっ、と声が上がる。恐れがひとつもない、と言えば嘘になる。だが、それでも、僕は彼とひとつになることを望んだ。来て、と小さな声で願うと、彼が頷き――そしてそれを奥へと埋める。
「くっ……あ、ふあぁ……!」
 喘ぎと呻きの入り混じった声が、僕の口から溢れた。平気か、と彼が尋ねてくるので、それに「うん」と何とか答えた。体が強張る。力を抜け、という声に従おうとしても、なかなか上手くはいかない。最奥を目指す彼の熱杭を、辛うじて僕の肉体は受け入れた。
 はあ、はあ、と荒く息を吐き出しながら、ヌヴィレットの顔を見上げる。普段は見られない表情の彼が、やはりいつもと違う僕の顔だけを見ている。動いてもいいか、と問われて、僕はもう一度うん、と答える。それを待ってくれる彼の優しさに、熱い吐息が漏れ出た。俄に動き出す引き締まった彼の身体。その度に確かな悦びが全身に伝わっていく。
 この部屋で目を覚ました時、僕の全部を満たしていた冷たいものは姿を消し、代わりに温かなものが満ちている。
 ――ヌヴィレット。僕の、何よりも大切なひと。かけがえのない、僕の水龍。寝台の上で声を漏らしながら、僕は彼に抱かれた。また、溢れる涙。それを彼はぺろりと舐め、そして笑む。君は、私と同じ気持ちでいるようだな、と囁きながら。その表情は僕の大好きな、やさしい笑顔だった。

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