get | ナノ



「はじめちゃーんっ!」


岩ちゃんの家でバレーの話をしてるときに突然入ってきて泣きながら話を始めるなまえちゃんをみて"あぁ、またフラれたんだ"と思う。

この光景は初めてではないし慣れたくもないが慣れたほうだ。幼馴染みの岩ちゃんに泣きついて慰めてもらうのはいいけど俺の前では正直やめてほしい、と毎回思う。
だって俺だってなまえちゃんのことずっと好きでずっと想ってたんだ。


「だから好きでもない人と付き合うなよ」


はぁ、と呆れながら慰める岩ちゃん。俺としては好きな人とも付き合って欲しくないけどグッと我慢して優しい言葉をかける。


「だってだってだって!!絶対あの人彼女さんいるもん...っ!いっぱい告白された中の凄い美人さんと付き合ってるに違いないもん...っ」

「だーかーらー、大丈夫だって。な?思いきって告白すればなまえなら付き合って貰えるって」


顔をぐちゃぐちゃにして泣くなまえちゃん。それを"大丈夫" "告白すれば付き合って貰えるって"と慰めながら励ます岩ちゃん。あぁ、もう二人が恋人同士に見えてきた。


「ほんと、なまえちゃんに想われてる人は羨ましいね。ここまで一途に想ってもらっちゃって...本当羨ましい」


俺もそこまで一途に想ってくれる彼女が欲しいなー、と言い終わってから気が付いた。思いっきり本音が出てる。うわーと思いながらなまえちゃんの方をチラリと見るとなまえちゃんはパチクリと瞬きしながらこっちを見てる。


「及川くん...彼女さんいないの?」

「うん、いないよー。」

「でも告白たくさんされるでしょう?」

「まぁ、」

「告白たくさんされるのになんで彼女さん作らないの?」


思わず"なまえちゃんのことが好きだから"って言いそうになった。でもそんなことは言えないからどう返そうか言葉に迷ってると彼女は一つ深呼吸をして背筋をピン、と伸ばした。


「...及川くん」

「ん?」

「わたしがずっと好きなのは及川くんです。ずっと好きでした。」


いままで告白されても赤くもならなかった顔が今はとても熱く感じる。いきなり何を言うかと思ったら好きな人からの告白なんて あぁ、もう泣きそうな顔しないでよ可愛いな、なんて思いながらもなまえちゃんを思いっきり抱き締める。


君を思う
(俺が居んの忘れんなよ、クソ及川!)
(痛っ!そんな怒るなよ岩ちゃん!)
(及川くんの彼女さん...現実だよね?)
(現実だから泣くな、バカッ!)

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -