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どんなことされても貴方が好きと言えるのです。

最期の告白

そう、例えば前に任務の最中に、貴方が珍しく出血をして気が狂ったように暴れたせいで私に一生残る傷が出来て、貴方がまわりから責められても私は貴方が好きだから許せたの。

それと前に知らない女連れ込んで私の部屋のベッドを汚しても許せたわ、だって貴方を愛していたから。

貴方が望むのならば、どんなことだって出来た。

なのに、こんなこと酷いわ。



「飽きちゃった、お前に」

昨日一緒に寝たのに起きた直後に貴方が言った言葉はとてもとても残酷でした。
私は頭が真っ白になりました。貴方の言葉が理解出来ませんでした。
貴方のためならばと私は散々我慢していたのに私は静かに涙を溢しました。

「どうしたらいいの」

「ん?」

「何でもするから、捨てないで」

私がそう言うのを待っていたかのように貴方はニィと口角を上げたのです。
貴方はわかっていた、私が貴方が言うことならば何でもすると言うことくらい。

「ほら、コレ使えよ」

貴方はそう言って、何処からかナイフを一本だけ取り出すと私がいるところの近くの床へと投げた。私は貴方と床を交互に見てからナイフを拾い上げた。
貴方が好き好んで特注で作らせたナイフが今私が手で持っていると思うとゾクゾクしてきた。
この気持ちをゾクゾクと言った言葉で表すのは正しいのか間違っているのか、全然わからない。
これから行うことへの無意識の恐怖感からなのか、貴方の持ち物に触れられたこと対する嬉しさからなのだろうか。私には区別できない。
ただ、貴方を喜ばせることができると言うことが私には光栄なのだ。

「ベル」

「なまえは、さ
本当オレのこと好きだよな」

「いいえ、貴方のこと愛してる」

「意味わかんねえし」

貴方はつまらなそうに呟けば小さく舌打ちをした。ああ、それすらも私にとってはとても愛しく思えてしまう。
貴方の存在は私にとってなくてはならないもの。
私の存在は貴方にとってはいらないものだったのかも知れない。
けれど、私は貴方の側にいたかった。

「私、貴方の何だったのかな」

ただの同僚、都合の良い女。
きっと私は貴方にとって、いてもいなくてもいい存在だった。そうに決まってる。
ナイフにそっと口付けすると貴方に最後に微笑む。もう私は貴方の側にはいることができなくなるから。

「ベル、さよなら」

自分の首にナイフを向け、私は小さく呟いた。きっと貴方は笑ってくれる。そう信じていた。
なのに貴方は私の方を見てくれない。
満足させるつもりで、これから死ぬのに、見ようとしてくれない。
私には彼を喜ばせることなんて不可能なのだろうか。

「ごめんなさい」

謝罪の言葉を言っても貴方は此方を見る素振りを全然見せなかった。
なので私は諦めて、貴方に背を向けてナイフで自殺しようとした時だった。

「なあ」

貴方の言葉に私の手は思わず止まり、私は振り返って貴方を見つめた。

「オレにとってお前はコイビトだったぜ」

貴方はそう言うと私の腕を掴んで、一気に私の身体にナイフを刺し込んだ。私はふらふらしながら数歩、歩いてから二人で選んで私が買った真っ白な絨毯に倒れ込んだ。
あんなに真っ白で綺麗な絨毯が今では私の血液で汚れてしまった。

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