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 神奈達のように気の知れた人は別として、その他、特に女の子はみんな概ね同じ接し方だ。
特別なんてなく、全員一緒。

 それは八方美人だと成田自身も分かっているが、今更変えられるものじゃないと思っていた。

 今まで指摘されたことは無かったし、まさか付き合いが最も浅い俐音にされるとは予想外だ。

 でも心の内を悟られたくなくて、結局笑って誤魔化す。

「俺の方までとばっちりが来そうだから心配で仕方ない」
「気をつけます……」
「そうしてくれ」

 自分の言いたいことは言った俐音は一人でスタスタと歩き出した。
 成田も増田も立ち止まったままだが、気に留めない。

「おーおー鬼頭は容赦ないな」
「胸に刺さる」

 成田は胸に手を当てて、傷ついたよとややオーバーに肩をすくめた。

「アホか鬼頭の言葉をよーく肝に免じとけ。大体その歳で遊びまくってたらこれから先どうすんだよ。楽しみ無くなるぞ」
「はは、それって実体験からくる教訓?ありがたく受け取っとくよ」
「そうしろ。あと授業にも出やがれバカヤロー」

 俐音を追って走って食堂を出て行く成田から目を離して増田は胸元のポケットを探って携帯電話を取った。

 ピカピカと光るサブディスプレイが着信があったことを知らせている。
 履歴を見て相手を確かめると、あまりのタイミングの良さに小さく笑った。

「おい菊、こんな時間に掛けて俺の仕事中断させるとはいい度胸だな」
『掛け直してきたって事はアナタ仕事してないデショ。それより、俐音に今度面談があるってプリント渡されたんデスけど、これって私とアナタがって事?』
「お前が鬼頭の保護者だって言うならそうだな」
『……今この電話でだと駄目デスか』
「電話面談は承っておりません」

 受話器の向こうから舌打ちが聞こえてきた。
 菊の出不精は今に始まった事ではない。

 ほとんど日に当たらない肌は世の女性が羨むほどの美白を保っているが、菊は男だから印象としては不健康といった方がしっくりとくる。

『仕方ないデスねぇ、他でもない俐音のためデス。いつでもいいから空いたところに入れといて下サイ』
「ならまぁ、決まったら教える」

 その時に、どうして二十八歳独身の菊が、高校生の俐音を預かる事になったのか聞こう。

 血の繋がりはないはずだ。
 しかもこの学校に通っているのは理事長が一枚噛んでいるからだろう。

 増田は携帯電話の電源ボタンを押して通話を終了させた。




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