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「お前等どこ行ってたんだ」
「ん? 生徒会室」
「は、なんで?」

 あそこに何か用でもあっただろうか。
 不思議そうに見つめる俐音に小暮は笑顔を作った。

「鬼頭、生徒会入れって誘われてただろ。それをこの二人が断りに行ったんだ」
「え!?」
「だって俐音ちゃんだと、簡単に言いくるめられてまんまとメンバーにさせられちゃいそうじゃない?」
「悪かったな、流されやすくて!」

 先日も壱都がいなければどうなっていたか解らない。

 だからといって、本人に一言の相談もなく勝手に断りに行かれたとなれば「それほどまでに私は頼りないのか」と思うし、生徒会の人達にもそう思われたはずだ。

 なんだか情けなさが湧いてくる。

「そもそも! お前等にこの事言ってなかったのに何で知ってんの」
「壱都に聞いた」
「ね、二人に頼めばいいって言ったでしょ」

 ホワイトボードを思案気に見つめていた壱都は、自分の名前が上がってニコリと笑った。

「壱都先輩……ありがとうございます!」
「あっれ、どうして壱都先輩の好感度が上がってんのかな、ここオレ達じゃない?」

 当然自分が感謝されるとばかり思っていた穂鷹はそう響に尋ねた。
 だが「知るか」と短く返されただけで、どうにも釈然としない。

「あ! そだ。クリスマスは響ん家でいいんだよね?」

 穂鷹の胸中を無視して緒方があっさりと切り替えた。

「響の家って私初めてだ」
「別に何もない普通の家だよ」
「お前が言うな」

 響が良い音を立てて穂鷹の頭を叩く。
 先程から踏んだり蹴ったりだが、穂鷹はいつもの事だからかさほど気にした様子は無い。

「リンリン一緒にケーキ作ろうよ」
「マジですか」
「俐音ちゃん涎危ない!」
「おお……もう条件反射で」
「パブロフか。つーか何勝手に人ん家でえぐい事する計画立ててんだ」

 響が俐音の顔にティッシュをごしごしと押し付ける。
 甘いものの名前をきいただけで、こちらは心底嫌そうな顔をする人だから、自分の家でケーキ作りなど以ての外だろう。

「ダメこれ決定事項だから。変更とかきかないから!」
「だから俺の……」
「無駄だって響、諦めなよ」

 哀れむでなく、大した感情を持ち合わせていないかのような無表情さで壱都は切り捨てる。

 その傍では既に何のケーキを作るかと、次の段階まで会話が進んでいて響は深く深く溜め息を吐いた。

 二学期の終業式。
 こうして明後日のクリスマスの予定が決まった。



end



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