王子様にプレゼントを | ナノ



「誕生日プレゼント何がいい?」

「本人に訊くなよ」

「じゃいいよ変なもの贈るから」

「お前ふざけんな」


彼は私の言葉に怒ったのかナイフをちらつかせた。

「…すぐ怒る」

「あ?なんか言った?」

「別にすぐ怒るから
いつまでたっても子供だなって」


「マジで殺す」

「そういうところが子供なの」



「しししし
よくもそんなこと言いやがったな
お前とは絶交だからな」

「ええ、どうぞご勝手に」


というのが先々週の出来事。
先々週から彼と私は会話をしていない。
彼は廊下ですれ違っても無視をしてまうからだ
つまり仲直りしたくても出来ない状況なのだ。

本当はもっと早く仲直りしたかったのだが、色々と事情が重なり彼の誕生日の今日まで仲直りできていない。

でも今日仲直りしないと彼の誕生日を祝えない。

ここは私が謝るしかないと思い彼を今朝から探しているのだが…見当たらない。

任務に行っていないことは確かなのでアジト内にはいると思ったのだが、どこにもいない。
彼の部屋に行っても留守だし。

あっ、もしかしたら外に出掛けているのかもしれないと思い私は彼の部屋の前で待つことにした。

その間に一時間、二時間、三時間と時間はどんどん過ぎていった。

夜には帰ってくるだろうと思っていたが…
現在の時刻は23時。
帰ってくる気配がない。

まさか他の女とデート…?

いや彼に限って浮気はないはず。

いやでも、もしかしたらすでに私は捨てられていて他の誰か知らない女と付き合い始めたかもしれない。
頭には不安になることばかり浮かんでしまう。

彼を信じたいのにだんだんと疑ってしまう心が怖い。

お願いします。
神様、彼が私のもとに帰ってきますように…







なんてお願いしてみるけど無理。

もう仕方ない。
そう思い自分の部屋に戻ると私のベッドですやすやと寝ている彼を見つけた。

「ベル…?」


「…ん
あ、やっとお前帰ってきた
おせーし…」

彼はゆっくりを起き上がりながらそう言った。

「私、ベルの部屋でずっとベル待ってたんだけど」


「マジ?」

「うん」

「あー失敗した
お前の部屋で待ってなくても良かったんじゃん」



彼はそう言うとまた私のベッドに寝転がった。

「あ、ベル」


「ん?」


「この間はごめんね
それと、ベル誕生日おめでとう」

「今回は特別に許してやるよ」

「ありがとう
…はい。これプレゼント」

「中身はなんだよ?」

「秘密」

「はあ?」

「いいから開けてみて」

私がそう言うと彼はプレゼントのラッピングを乱暴破いた。
せっかく私が頑張ってラッピングしたのに。


「マフラー…?」

ベルは中身を取り出すと私にそう尋ねてきた。

「…マフラーだよ」


「しし、お前不器用だな」

「不器用で悪かったわね」


「ま、せっかくだから着けてやんよ」

そう言うとベルはマフラーを首に巻いた。

「…誕生日おめでとう」

「ん」

今年も貴方と過ごせたことに感謝をし、来年も過ごせますようにと私は心の中で神に願った。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -