寒い冬の朝 | ナノ


 
「さむ」

現在12月21日23時。
私は寒くてベッドから出たくなかったが明日は彼の誕生日。今のうちから準備をしなきゃ…。

彼は昨日から任務に出掛けてる。
きっと今頃は楽しく殺ってることだろう。
でもこんな寒いのに任務に行かせてたのは可哀想かもしれない。

まあ彼を任務に行かせるようボスに頼み込んだのは私だけど。

彼が帰ってくるのは予定では22日の朝方。
きっと寒いだろうからと思って私は温かい料理を作り始めた。

どうか無事に帰ってきてと願いを込めながら。
まあ彼に限って死ぬことはないだろうが。一応念のため…

去年は私が大怪我をしてお祝いできなかったから今年は盛大に祝ってあげたい。
そういう思って始めた計画。
大成功で終わらしてやる。

料理が完成したら後は部屋の飾り付け。
少し子供っぽいかもと思ったけど飾り付けないと何かしっくりこなくて折り紙で飾りを作った。
本当は部屋中に風船をばらまきたかったのだが後片付けが大変だからやめた。


現在12月22日3時。

後少しで飾り付けも完成する。

彼は喜んでくれるだろうか?
もしかしたら呆れるかもしれない。

そんな不安もあるが私は今できる精一杯の気持ちを贈るんだ。

12月22日5時。

彼がそろそろ帰ってくる時間。

私は彼をドアの前で待つ。
準備は万端だ。
いつ帰ってきても大丈夫…


―――

ガチャリと部屋の鍵があいた。…彼だ、私は部屋のドアが開くのを待つ。

「…何やってんだよ」

そんな言葉と同時に部屋のドアは開け彼は入ってきた。

「びっくりした?」


「いつも冬の朝は寝ているお前がこんな時間に起きてるんだから驚くに決まってんだろ」

「そっちにか…まあいいけどさ
誕生日おめでとう、ベル」

私は彼に抱きつくとそう囁いた。

「ん」

「寒い中任務ご苦労様」

「お前が行かせたんだろ」

「あれ、バレてた?」

「ボスが教えてくれた」
「そっか」

口止めしなかったからな。

「しし、そろそろオレ、ドア前から移動したいんだけど」

「ああ、ごめん
ここドアの前だっけ…」


「いくら居心地良くても忘れんなよ
バーカ」

私は名残惜しいが彼から離れた。

「もうちょっと抱きついていたかったのになぁ」

わざとらしく大声で私はそう言った。

「はいはい、後でいくらでも抱きつかれてやんよ」

「楽しみに待っとく」


「にしても派手にやったな」

彼は部屋を見渡すと私にそう言った。

「うん、かなり頑張った」

「よく頑張ったじゃん
朝が嫌いなお前にしては珍しいんじゃね?」

「ベルのためだからだよ」

「へぇ…オレすげぇお前に愛されてんじゃん」

「うん、かなり愛してる」

私がそう言って笑うと彼も笑った。

「オレもお前のことかなり愛してる」

「あれ、ベルにしては珍しいね」



「…あーあ、腹減った
どうせお前飯を用意してんだろ」

「うん」

「五秒で持ってこいよな」

「無理だよ」

「お前ならできるから大丈夫」

「冗談言わないでよ
あ、ベル」

「何?」

「やっぱ何でもない」


寒い冬の朝は嫌いだった。
でも彼と一緒にいる冬の朝はこんなにも暖かくて
本当に生まれてくれてありがとう。

これからもよろしくね。

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