雨の日に傘を | ナノ


※学パロ

「あ、雨
まだ降ってる」

「やだ、まさかあんた傘忘れたの?」

「違うわよ
朝、学校来る途中でぶっ壊れたの」

「ハイハイ
じゃ、あたし彼氏と帰るから」

「ま、待ってよ」

私が呼び止めているのに友達は彼氏の元へ走っていった。
友達よか彼氏かい。

小学生の時なんかは、どちらかが傘を忘れたら相合い傘で帰ったのによ。

「あーやまないかな」

「無理だと思いますよー
天気予報で夜まで降るって言ってましたからー」

「ああ、そう。ありがとう」

私の独り言にわざわざ返事をしてくれたのは幼なじみのフランだった。

「あれー?元気ないですけど傘でも忘れたんですかー?」

「忘れたんじゃなくて壊れたのよ」

「どんな使い方したんですかー?」

「普通に使ってたわよ」

「ふーん
じゃミーお先に帰りますねー」

「ちょっとあんた酷くない
幼なじみなんだから家まで傘入らせてよー」

「えー、嫌でーす」

「何でよ?」

「まわりから変な勘違いされたらメンドーだからですー」

「あー
まあ確かに面倒かもね」

「はい、じゃミーは帰りますねー」

「待て待て」

「仕方ないですねー
後でなんか奢れよー…ったく」

「わかった、わかったからそんなに怒らないでよ」

「別に怒ってないですよー
じゃあそろそろ帰りますか」

「あ、うん」


―――


「ほら、もっとこっちよってくださーい」

「あ、こう?」

「はい」


雨に濡れずに帰ることになったのは嬉しいけどやっぱり恥ずかしい。
こんなことフランに今更言ったら笑われるな。

それに昔は、よくこうやって帰ったことあったっけ。
懐かしいな。
いつからだっけ?
私たちが一緒に帰らなくなったのは。

「フラン」

「何ですかー?」

「寒くない?肩濡れてる」

「あぁ大丈夫ですよー」

「私の方に傘傾けすぎだよ」

「気のせいですよー」

嘘つき。
優しくしないでよ。

「優しすぎだバーカ」

「誰が馬鹿ですかー?」

「内緒」



「言っときますけど、あんたを守れなきゃ男じゃないんでー」

「で?」

「…だからその
あんたに風邪ひかれたらミーが困るんですー」

「心配御無用。私、フランよりか身体が丈夫なので」

「そう言って無理して風邪ひくのがあんただろうがー」

「そうだっけ?」

「忘れたんですかー?
昔、傘をミーに貸して同じこと言いましたよー」

「あー忘れてた」

「やっぱり忘れてたか…」



「あー
てか雨ウザイね」

「そうですねー」

「そろそろ梅雨入りかなぁ?」

「多分」

「…」

「どうかしましたー?」

「いや別に」

「そういえばミー謝らなきゃいけないことがあるんですよねー」

「何?」

「実はミー
もう一本傘持ってたんですよねー」

「は…えええええ?」

「あ、ほら
あんたの家につきましたよー」

「いや、ちょっと待て
傘持ってたって」

「久しぶりにあんたと帰りたかったし」

「いやいや
傘貸してくれれば一緒に帰ったよ?」

「それに」

「それに?」

「あんたと相合い傘してみたかったんでー」

「はあ?」

「じゃあそういうことですのでー
また明日」

フランはそう言うと走り去った。

相合い傘したいってことはそのあれだよね。
期待してもいいのかな。
てか、私…
フランのこと別になんとも思ってなかったのに
何でこんなに胸が高鳴るの。

明日どんな顔して会えばいいんだろう。






(幼なじみなのに)

(好きになりそう)



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