「なあー」
「なに?」
「オレ、おかし食べたいんだけど」
「はいはい」
私は少し笑いそうになりながらそう言うと戸棚からお菓子を出しベルに渡した。
「これしかねーの?」
「んー足りない?」
ベルがテーブルに肘をつき私を見上げるようにそう言ったのが可愛くて私はつい頭を撫でた。
「…っ
ガキあつかいすんなよ!」
「怒らないでよー
ベルは本当に可愛いね」
ベルが子供扱いされるのを嫌いと知っているのに私はいつもわざと子供扱いをする理由は簡単、ベルが可愛いからだ。
「男にかわいいとか言うんじゃねーよ!」
「男の子でもベルはものすごく可愛いんだよ」
「王子はかわいくないもん!かっこいいんだもん…」
「ハイハイ。わかった、わかった
ベルはかっこいいよ」
私がそう言うとベルは満足そうに笑った。この子は自分の可愛さを理解した方がいいと思う。私をメロメロにさせるくらいの可愛さを持ってるのだから。
でも、こんな小さくて可愛いベルも成長していつかは私から離れていくんだろうなぁと思うと少し悲しくなる。
私がどんなにベルを好きでも私とベルは釣り合わないもの。
私がただ一方的に溺愛してるだけ。
ベルと同じ年齢だったら私はきっと幸せだったのにな…
「なんでくらいかおしてんだよ」
「何でもないよ」
「ほんとに?」
「うん」
「なら、いーけど」
「ベル」
「んー?」
「好きだよ」
「ししっ
オレもおまえのことすきー」
私とベルの好きとは違うのよ、なんてことベルに言えるわけない。
「ベル」
「なあに?」
いちいち首を傾げるベルが可愛い。
見上げるように私を見るベルが可愛い。
ベルの仕草全てが可愛い。
「ベルは可愛いよ」
「…どーしたの?」
私が急に抱きついたから驚いているのかベルは不安そうにしてる。ああ、そんなところも可愛い。
『なんでもないよ、ベル
ただ』
「ただ?」
「私がベルを好きなだけ」
「そっか」
そう言うとベルは笑顔になった。
ベルがいつまで私に笑顔を向けてくれるかわからないけど私はいつまでもベルに笑顔を向けていよう。
blind love
(溺愛)
私はベルを死ぬまで溺愛していることだろう。