白い布に一滴赤い血を | ナノ



「うしし
お前本当白い服似合わないよな」


「余計なお世話っ」

彼は私の服を指を指しながら大声で笑った。
失礼しちゃうわ。
私がせっかくオシャレをしたのに可愛いの一言もないなんて。

私が不機嫌になるといつも慌てて彼はこう言う。

「嘘、超可愛い」

って彼は私の扱いを慣れているんだと思う。
だって彼は私の心が読めるんだから。


「白い服が似合わないなんて言うから少し泣きそうになっちゃったじゃない」

「何でだよ?」

「ウェディングドレスも白いから…」

ウェディングドレス。
それは女の子の夢。
純白のドレスを着て好きな人の隣にいられる。
なんて素敵なことかしら。
まあ、どうせ彼はくだらないと笑うだろうでも私には大切なことなのだ。


「あー
ウェディングドレスって別に白じゃなくてもいいんじゃね?」

「え?」

彼が発した言葉は私の予想とは違った。

「しし、何だよその顔は…
だから白以外でもいいんじゃね?って言ってんだろ
オレお前には他に似合う色があると思うんだよね」

そういうと彼はまたお得意の笑顔を私に見せる。
その笑顔が一番好きなんだけど顔が赤くなるので不意討ちはやめて欲しい。
「…例えばどんな色が似合うと思う?」

「そーだな」

彼はあたりを見渡す。
そして何か思い付いたのか妖しい笑みを浮かべた。

「例えば」

「きゃ…」

「この色とか」

彼は私の手首を掴むと私の親指を少し切った。

親指からは赤い血が溢れ滴となり白いワンピースを赤く汚す。

「ちょっとベル痛いって」

「あ、わりぃー」

へらへら笑いながら言われても謝罪を受けている気がしない。
まあそう言ったらうるさいから…
黙っておくけど。

「…もうせっかくのワンピースが汚れちゃったじゃない!」


「しし、綺麗だろ?」

「どこが…ったくもうこれ着れないじゃない」

「じゃ、お詫びに王子が洋服買ってやるよ」

「え…いいの?」

「ったりめーだろ
でも服選ぶのはオレだから」

「もう買ってくれるならなんでもいい」


「今の言葉忘れんなよ?文句は無しだからな」

「了解」



「じゃ、深紅のドレス買ってくるからおとなしくお前は待ってろよ」

「え…深紅?」

「文句は言わねーはずだろ?」

「そうだけど深紅は流石に…」


「あ?」

「いえ何でもありません」


「だよな
じゃ行ってくるから
バイビー」

「行ってらっしゃい」


深紅のドレス着せられるくらいならいっそ部屋から出ていってしまおうか。
別に深紅のが嫌って訳じゃないのだが。
なんとなく無理なのだ私には。

彼が帰ってくるのが憂鬱だが仕方ない。
暖かい飲み物用意して待っててやろうか。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -