代わりなんていくらでもいるじゃない | ナノ



死ねた


「代わりなんていくらでもいるじゃない
何であの子に執着するの?」

「あいつの代わりなんていねーんだよ…」

いつもとは違い弱々しいベルの声が辺りに響いた。


「私でもダメ?」

「ダメ…」

私がどんなに足掻いてもあの子の代わりなんてなれないんだ。
つまらない…

「そっか」


ベルは驚くだろうか、私があの子を殺したと…
知ったら。



「お前さ
今、笑った?」


「え?笑ってないよ」

「嘘つくなよ、バレバレだっつーの」


「ヤだな、ベル
何で私が笑わなきゃいけないの?」

ヤバい、殺気がひしひしと感じる。
気づかれた?

「うししししし
気づかないとでも思った?」

「だから何を?」

「お前があいつ殺ったんだろ?」

「なんで私があの子を殺さなきゃいけないのよ?」

「ししし
理由は簡単だろ
でもさ、その理由オレが言ってもいいわけ?
自分で言った方が楽なんじゃねーの」

「…」

私は無意識に後退りをしてしまった。
そのせいですぐ後ろは壁だ。
私はもう逃げれない。

「ベル」

「あ?」

「私は一番にはなれないんだね」

「お前よくこんな状況でそんなこと聞けるな」

「こんな状況だからこそ聞いておきたいの」

「じゃあ言ってやんよ
お前はオレの一番にはなれねぇ」


そんなこと知ってるよ。
わかってるからこそ聞きたかったんだよ、ベル
自覚はあったんだよ。
自分が二番目だってことぐらいさ。
でも我慢できなかったんだ。

「ベル…
ぐちゃぐちゃでも良いから私を殺して」

「へぇ…命乞いしないんだ
お前にしては上出来じゃん」

命乞い?するわけないじゃない。
したらベルは私を愛してくれるの。

「できるだけ
声を出さないから」

「無理しなくてもいいんだぜ?」

「無理じゃないよ
でも一つだけ要望聞いてくれない?」

「何?」

「私をさ…―――」




「了解」

「…嬉しいな
ありがとう、ベル」

「オレお前のこと嫌いじゃなかったんだぜ?」

「何言ってんのよ
愛してくれなかったのはベルでしょ」


「…じゃーな」

「うん」

「バイバイ」



さよなら、ベル。

貴方には私がどう映った?
血を流しながら貴方を見つめる私は惨めだった?
私は幸せだったんだよ。
貴方が殺してくれて嬉しかった。



私の最期の我が儘聞いてくれてありがとう。
絶対私という存在を忘れないで。
了解って言ったんだから約束だよ。

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