※学パロ
私は、よく幽霊と呼ばれる。
生まれつき影が薄いと言うか…
とにかく空気になっていて、ずっと同じ場所にいても気づかれないせいでよく人を驚かれるからついたあだ名が“幽霊”。
このあだ名をどれだけ恨んだことか…
私を名前で呼んでくれる人なんか親しかいない。
学校のみんなから幽霊と呼ばれ続け、友達もいない。
正直寂しい。
もっと私が自己主張したらみんなは私の存在に気づくだろうか。
「おい、そこのお前ハンカチ落としたぜ」
「…」
男子の声が後ろから聞こえたけど多分私に話しかけているのではないんだろうな。
へたに振り向いて私の勘違いだったら恥ずかしいし。
「待てって言ってんだろ!」
…あれ?まさか私にはなしかけている?
いやいや、ないそれは絶対ない。
私の存在に気づく人間なんかそんなにいないし。
私はそう一人納得した。
そうだ、図書室に行こうあそこなら静かだ。
「おい、待て
無視すんじゃねーよ」
「…!」
男子が私の肩を掴んだ。
「ほら、ハンカチ」
「あ、ありがとうございます
あの、先ほどは無視してすいませんでした
まさか私に話しかけているとは思わなかったんで」
「…あっそ」
「あのお名前は…」
「ベルセンパーイ
スクアーロ先生が呼んでましたよー」
私が勇気を振り絞って声を出したのに声は部外者によってかき消されてしまった。
「あ?わかった
今、行く
じゃ、これからはちゃんと話しかけられたら返事しろよな
ユーレイさん♪」
男子は笑うと私の肩をポンッと叩いて男子を呼んでいた人物の元に走って行った。
――――
あの日から私は、あの男子のコトが気になり始めた。
でも私はあの男子の事を何一つ知らない。
そうだ!知らないなら調べればいい。
各学年のクラスを一つ一つ探して…ってこれじゃ時間かかるか。
ああ、どうしよう。
てか私なんでこんなに気になるんだろう。
まさか、これが恋?
いや、ないないないない…
ありえないよな、それだけは。
ほら、私…地味だし、幽霊と呼ばれてるし?
きっと、私は自分の存在を気づいてもらえて嬉しかっただけ。
きっと、そう。
気になるのは、名前を訊かなかったからよ。
うん、絶対にそうよ…
そうだ、屋上に行こう。
少し考えを整理しなきゃ。
私は一人納得して屋上に向かった。
「…風が気持ちぃー
やっぱり屋上はいいな
あれ?あれは…」
私は屋上で昼寝?をしている。
あの男子を見つけた。
私はこっそり近づいてみることにした。
「ぐっすり寝てる…」
起こさないように静かにしなきゃ…と思いながら。
私は、すやすや寝ていると男子の顔を見た。
…綺麗な金髪だなぁ。
それにしても何で前髪長いんだろう。
私は、好奇心からか前髪を捲ってみたくなった。
「少しくらいならバレないよね」
私はそう独り言を言うと顔を近づけてみた。
緊張からなのか死にそうなくらい心臓がドキドキする。
「…っ」
私が指で髪を触った瞬間…
バシッと手首を掴まれた 。
「なあに寝込み襲おうとしてんだよ…カエ」
「あ、あの…すいません!」
「ってアレ?
ユーレイさん?…カエルかと思った
まあ、いいや
オレになんか用?」
「いえ、屋上来たら
貴方が寝ていたので…その」
「ししっ、テンパんなよ
落ち着けって、な?」
「はい!」
「いい子いい子♪」
男子はニヤリと笑って私の頭を撫でた。
「あの、この間は本当にありがとうございました」
「礼なんかいらねーって」
「でも………
あ、あと無視しちゃって本当にすいませんでした」
「別に気にしちゃいねーよ」
「あと私、あのときから貴方の事が気になってしまって…
だから名前教えてください」
私はペコリと頭を下げた。
「…それって告白?」
「へ?違います」
私は顔が真っ赤になりながら横に首を振った。
「だよな…
わりぃ、勘違いして
あ、オレの名前はベルフェゴール」
「ベルフェゴール君?」
「あ、ベルでいいから」
「はい
あ、私の名前は…」
「知ってるから言わなくてもいーぜ」
「え?でも…」
「あ、皆がユーレイさんって呼んでたからそう呼んでただけで
お前の本名知ってる」
「何でですか?」
私の名前を覚えてる人間なんかそう滅多にいないのに。
何で…
「ずっと見てたから」
「え」
「お前さ、入学式んときもハンカチ落としただろ」
「あ…」
「落としたハンカチ拾ってお前に届けたのがオレだったんだよね
あの時もお前オレが話しかけてんのに無視してさ」
あ、思い出した。
私…あの時
「お前ペコペコ頭下げてさ
オレ、あの時からお前の事気になってた」
「それは本当ですか?」
「嘘なんか吐くわけねーだろ
“ ”」
「!」
ベル君が私の名前を呼んだ。
本当に知っていたんだ
私の名前…―――
「もし良かったら、オレと」
付き合わねぇ?
返事を言う前に私は口を塞がれた。