好きでした。
大好きでした。
私は貴方を最期まで愛してました。
でも、貴方にはもう私の声なんて届かない。
―――――
「フラン」
「ゲロッ…いきなり頭を叩かないでくださいよー」
「良いじゃない減るものじゃないんだし」
私とフランは同僚で恋人同士だった。
私たちは深く愛し合っていた。
私はフランがいれば他に何もいらないと思っていた。
フランが私の全てだった。
でもある日些細なことで喧嘩をしてしまった。
「あんたの顔なんてもう見たくありませんー」
フランは冷たく私にそう言いはなった。
「こっちだってもうフランの顔なんて見たくない」
私はそれにムカついて
なんてことを言ってしまった。
今思えばすごく後悔してる。
もしも、あの時すぐに仲直りしていたら違う未来があったんじゃないかと思うたび胸が苦しくなる。
あの時のフランの怒った顔が今でも忘れられない。
仲直りする間もなく私たちは任務に出掛けた。
真っ暗闇で敵も味方もはっきりとは見えていなかったけど、なぜかわからないけど私はフランのいる場所がすぐわかった。
やっぱりこの時謝ってればよかった。
味方がバタバタと倒れていくなか、私はただ一心不乱に敵を切り裂いていった。
時々フランの事がすごく心配になったけどフランが殺られるはず無いと思いながら後ろを振り返らなかった。
味方もフランしかもういなくなった時だった。
フランが私に逃げろと言ったのは。
「…ミーたち二人だけじゃ敵には敵いません
だからあんただけでも逃げてくださーい」
「イヤだ…私は死ぬまで戦ってやる」
私は強がりを言ってこの場から逃げ出さなかった。でもね、この選択をしたのは後悔してないよ。
私たちは傷だらけにながら戦ったけど敵は減るどころか、増えていったね。
だけど私たちは逃げ出さないで目の前の敵を殺していった。
二人じゃ無理だ。そんなことは理解していた。だけど逃げ出すなんて私にはできなかった。
敵がやっと少なくなってきた頃、私は何かがおかしいとふと思い始めた。
敵の数がおかしい。
殺してないのに一人足りない。
私は辺りを見渡した。
敵が物陰からフランを狙っているのがわかった。
危ない、言葉かけるよりも先に体が動いた。
一瞬の出来事だった。
フランの代わりに私が敵の攻撃を受けたのは。
フランは私に気づくと驚いたのか私をじっと見つめていた。
「馬鹿じゃないですかー
ミーのこと庇うだなんて」
馬鹿だよ。だけどね、フランが好きだから庇ったんだよ。そう言いたかった言いたかったけど私はもう喋れなかった。
「まだちゃんと仲直りしてないじゃないですか…」
ねえ、フラン。
私…死ぬ前に貴方の顔を見れてすごく幸せだったよ。
私の声はもう貴方には届かないけど。
貴方の声は私に届いてるよ。
愛してるよ、フラン。