君しかいない。 | ナノ


「ベル」

「んー?」

「大好きだよ」

「オレも」

私が愛の言葉を言うと必ずベルは私を抱き締めてくれる。私がベルのことをじっと見つめているとベルは必ずキスをしてくれる。
私はそんなベルが大好きだった。


よく、私たちはまわりから仲が良くて羨ましいとか言われる。なぜかと言うと私とベルは付き合ってから今まで喧嘩したことがないからだ。

喧嘩しないのはお互いを思いあっているからだと私は思っていて、喧嘩しないことが私の自慢だった。
ある日友達と彼氏の話で盛り上がっていた時にそのことを自慢したら友達に喧嘩をしないのは気を使って本音を言わないからだと言われた。それに友達は毎日のように喧嘩をして本音を言い合ってることが自慢だと逆に言ってきた。
私は、まさかと思いながら話を聞いていたが、急に不安になりベルにそれとなく訊いてみることにした。


―――――

「ベル」

「なんだよ」

「ベルは私に気を使ってる…?」

「はぁ?急になに言い出すんだよ」

「なんとなく思ってさ」

「別に気なんか使ってねーけど」

「そっか…」

少し安心した。そうだよね、ベルに限ってそれはないか。


「お前、今日おかしくね?」

「…!」

「誰かになんか言われた?」

「い、言われてないよ」

「しし、本当に?」


「…うん」

「嘘ついてんじゃねーよバーカ」

そう言うとベルは私の頭を小突いた。地味に痛い。

「ごめんなさい
実は…―――――」

私はベルに全てを話した。



「お前バカじゃね?
友達は信じてオレを信じないとか」

「ベル?」


私が訳を話すとベルは急に冷たい口調になった。

「悪ぃけど出てってくんね?」


私がベルを傷つけたんだ。そう思うと胸がズキリと傷んだ。



――――

あれから数日たったがいまだにベルと顔を会わせていない。そのせいでまわりから、いつもバカップルなのに珍しいとか言われ始めた。
珍しいのか…そうだよなぁ。
だって今まで喧嘩したことなかったのだから。
いつも顔を会わしたら愛の言葉を言い合ったり手を繋いだり抱き合ったりしてたんだもんなぁ…

私、愛されていたのに。
愛されていたから喧嘩なんかしたこと無かったのに。バカだ、バカだよ私。

ベルと喧嘩してから気づくなんて。

私は部屋の隅っこにうずくまり涙を溢した。
ベル、私は貴方に…
なんて酷いことしたんだろう。そう思いながら私が涙を拭った瞬間だった。

「少しは反省した?」


「ベル…?」

「目真っ赤じゃん
なにやってんだよ」

「ベル」

「んー?」

ベルは前みたい笑いながら私に話しかけてきて私が名前を呼べば返事をしてくれた。

「ごめんなさい」

「…もう気にしてねーよ」

そう言うとベルは私の頭を少し雑だけど優しくに撫でてくれた。

「私、喧嘩なんかしたくない
ベルとずっと仲良しでずっと一緒にいたい」


「オレもお前とずっと一緒にいたい」


そう言うとベルは私にキスをした。私はそれが嬉しくてベルに抱きついた。
ねぇ、ベル。
私はベルが大好きだよ。

「ベル」

「んー?」

「大好きだよ」

私がそう言うとベルはニヤリと笑って「オレは愛してる」と言った。

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