不思議な出会い | ナノ


「おまえ、おうじとあそべ」

「?」

「きこえねーの?」


なぜか突然見ず知らずの少年が花畑で昼寝をしていた私に話しかけてきた。

「…どちら様で?」

「はあ?おまえオレのことしらねーの?」

「はい」

「ししし、ありえねぇ…」

「ああ、君迷子?
お姉さんがお家まで送ってあげようか?」

「まいごじゃねーしっ!」

私が迷子と言ったからか少年は顔を赤くしながら否定した。
この少年どこかで見た気もするが…思い出せないけど。

「まあ、私も暇だし
いいよ、遊んであげる」

私がそう言うと少年は少し口元を緩めた。

「んーと、じゃあさ…かくれんぼやろーぜ!」

「え?二人だけでかくれんぼ?」

「もんくあんのかよ?」

私が少し大袈裟に驚くと少年は頬をぷくーっと膨らませると私を見上げて少し不安そうな声でそう言った。
その仕草が可愛くて私は思わず笑顔になった。

「ない、ない
だから安心しなよ」

「じゃあ、はやくかくれんぼやろーぜ!
オレがオニだからな」

「うん。わかった」

――――

かくれんぼと言っても…隠れる場所なんかここにはあまり無いんだけどな…花畑だし。
いっそ花と花の隙間に隠れちゃうか…

そう思い、私は花の上に寝転んだ。
いやいやいや、これじゃバレバレじゃないか。
てか花の隙間に隠れるなんて無理だ、いやでもここ花畑だし。隠れる場所無いし。
どうしたものか…


「みぃつけた」

「え?」

「おまえがおそいからもうさがしにきちゃった」
「あ、ごめんね
でも花畑でかくれんぼは無理だよ」

「じゃあさ、つぎはちがうあそびをしよーぜ」


「そうだね」

子供は元気だなぁと思いながら私は少年を見つめた。
なんとなくその場のノリで一緒になって遊んでるけどこの子いったいどこから来たんだろう?


「…――なあ、なあ
はなしきいてんの?」

「あ、ごめん
ちょっと考え事してて」

「ったくしかたねーやつだな…
こんどはおまえがあそびきめていーぜ」

「え?私が?」

「うん
なんでもいーからさ」

「…でも、もうそろそろ夕方だし
そろそろ帰らない?」

「ヤダ。おうじかえりたくない」

「でも早く帰らなきゃおうちの人も心配するよ」

「ヤダ、まだ遊ぶ!」

少年は私の服を掴んで離さない。

「また遊んであげるから」

「…ほんとに?」


「本当だよ。約束するから」


「ぜったいわすれんなよ!」


「忘れない忘れない
あ、今さらだけど君、名前は?」


「オレはベルフェゴール
ベルでいいぜ」


「じゃあ、ベル
また遊ぼうね」

「バイバイ、おねーさん」


ベルはそう言うと走り去ってしまった。
変わった子だったなーとか
今度会った時は何をして遊ぼうかとか
そんなことを思いながら私も家に帰った。


これからの毎日が楽しみだ。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -