1mルール | ナノ
 


あの後、飛行機が空港に着き、空港から車で移動してホテルに向かった。
ホテルに着くと私は部屋に籠り、写真を見つめた。どう見ても写真の標的はあの人だよなぁ…
―あの人
つまり、先輩と歩いていた大人しいそうな女性。
写真を見た瞬間目を疑った、でも私が間違えるはずないあの光景はしっかりと脳裏に焼き付いているのだから。
あの人、大人しい顔してるのに人は見かけによらないな…まあ、私もだけど。

でも神様も酷いものだ、こんな運命の悪戯をするなんて…
私が先輩を好きで好きで狂いそうなのを知っているのにね。
絶対先輩に嫌われるし、多分あの人を殺したら私は完全に壊れるだろう。
ああ、こんなことならこんな任務引き受けなきゃよかった…

私はそんなことを思いながら眠りについた。



――――――

「いつまで寝てんだよ」

「!?」

朝、どこから入ってきたのかわからないが先輩に無理やり起こされた。
鍵をかけたはずなのに。

「せ、先輩が何で」


「しし、何慌ててんだよ」

そう言うと先輩はぐいっと顔を近づけてきた。

「慌ててなんかいません」

私は慌てて首を横に振った。

「しし、お前本当に嘘つくのヘタだな」

「だから、」

「まあまあ落ち着けって
お前に良いもんやるからさ」

先輩は床に置いてあった袋を私に見せた

「え?何かくれるんですか」


「ジャーン」


先輩はそう言って袋から取り出した、綺麗な薄紅色のドレスを。

「わあ…これ本当にくれるんですか?」

「しし、やるって言ってんだろ。それに今さら取り上げたらお前泣くだろ?」

「ありがとうございます」

「今回の任務ん時はそれ着ろよ」

「え?」

「お前聞いてなかったのかよ
今回の任務パーティーに参加して標的殺るんだけど」

パーティー?
……………………え?

「聞いてなかったです」

「はぁ…お前がそこまでバカだとは思ってなかった」

「すみません」

ああ、昨日ボーッとしてたからだ。聞き逃すだなんて私のバカ。

そういえば今回の任務、先輩…標的にあの人も含まれていること知ってるんだよね。
どんな気持ちなんだろう。

「先輩、今回の標的」

「ん?
何、お前心配してんの?」


「…はい」

「オレ、あの女とは何でもねーって言っただろ」

先輩はそう言うと私にデコピンをした。

「だけど」

先輩が否定すればするほど怪しく思う。
それに先輩、気になってる人がいるって言ってたし…

「…あの」

「この話はもう終わり
お前朝食食ってねーだろ
早く食ってこいよ
ここでオレ寝てるから」

先輩は無理やり話を中断させた。
先輩、本当に何でもないんですか?



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