恋をしない方が幸せだったかどうかなんて私にはわからない。 昨日からフランと一言も話してない、だって前みたいには話せないから。 先輩とは少しだけ話せた、でも前みたいに笑いながら話せなかった。 そんな私を不思議に思った隊長が心配して任務先に向かう飛行機の中で話しかけてきた。 「え?」 「だから、今日のお前は少しおかしいって言ってんだぁ!!」 「隊長、声でかいです」 「…お前が聞いてねぇからだろぉ」 「で…話は何でしたっけ?」 「お前が今朝からおかしいって話だ」 「え?あれ、私おかしいですかね」 「飛行機乗るまでずっと上の空だっただろーがぁ」 「ああ、ただ寝不足です」 「寝不足だぁ? バレバレな嘘言ってんじゃねぇ!」 あーあ、やっぱり隊長は全部お見通しなのか。 「隊長…」 「言いたくねぇなら言わなくても良い、だが任務に支障を起こすようならどうなるかわかってるなぁ」 「はい」 隊長、心配かけてすみません。 …今は任務に集中します。 「あとこの資料に目を通しとけ」 「あ、わかりました」 隊長は私に資料を手渡した、私は受け取るとパラパラと資料を捲る。 何々、今度の標的は、急成長してきたファミリーのボスとその家族。 なんだ、簡単そうじゃないと思いながら私は次の資料を見ると娘は要注意人物と書かれていた。 何々、この間好き勝手暴れていた犯人? え…ちょっと待って、 この間私とフランで。 「隊長、この間暴れていたのが娘ってどういうことですか?」 「実はな、あれから調べた結果 お前ら殺った相手は偽物だった」 「偽物?」 「そのファミリーが用意したな」 「!」 「揉み消したかったらしいが、ボンゴレの縄張りで暴れた罪はでけぇからなぁ」 「…そうだったんですか」 「ああ、今回の任務は慎重にやらなきゃ後が大変なことになるから気をつけねぇといけねぇ」 「今回の任務、私たちの他には誰か…」 「…最初はフランが来るはずだったんだけどな ヤツには色々とやってもらわないといけねぇことがあるから代わりにベルが」 「先輩が?」 「ああ、後で合流する」 「そうですか…」 先輩と任務、私の胸は高鳴った。 今は任務、私情は入れちゃダメだとわかっているのに。 「…わかってはいると思うが」 「大丈夫です わかっていますから」 「なら、良い」 「あ、隊長」 「何だぁ?」 「私が暗殺するのは娘ですよね 写真とかありますか?」 「あるぜぇ、ほらよ」 「ありがとうございます」 ふふ、じゃあボンゴレの縄張りで暴れまくった犯人の顔を見るとするか… ―――― 「う゛お゛ぉい!! お前、いったいどうしたぁ?」 「何でもないです」 私は床に落とした資料を慌てて拾った。 まさか写真に写っていた人物があの人だったなんて。 |