私は今日も非番だった。退屈なので同じく非番の先輩に会いに行くことにした。 「暇です」 私が先輩の部屋のドアをそう言いながらノックすると、先輩は少しドアを開けて 「オレは暇じゃねーし」 とめんどくさそうに言って、ドアを閉めようとした。 「お願いします 私、一人じゃ寂しくて死んでしまいます」 「お前はウサギか?」 私は閉められそうなドアを必死に引っ張る。 「先輩の部屋見たいです」 「今日はムリ」 「そんなこと言わずに…」 「だってお前昨日調子に乗ったから」 私は少し動揺した。確かに昨日は少し調子に乗って手を握ったりしたけど… 「先輩…握り返してくれたじゃないですか」 「あれはたまたまだよ」 「えー」 「えー…っじゃねーし」 「ちょっと、ちょっとだけでいいんです 先輩の部屋見せてくださいよ」 「…あーもう わーったから静かにしろ ったくほら入れよ」 「お邪魔します」 私はゆっくりと先輩の部屋に足を踏み入れた。 私は勝手にきっとシンプルな部屋なんだろうなと思っていたが先輩の部屋は私の予想と全然違った。 「片付いてねーけど まあ適当に寛いでくんね?」 「はあ…」 私はとりあえずソファーに座った。 部屋に入りソファーに座ったまでは良かったのだが急に会話が続かなくなってしまった。そのことに私が戸惑っていると先輩から声をかけてくれた。 「お前さ」 「何ですか?」 「好きなヤツとかいんの?」 「…い、いますよ」 「誰?」 いますと答えることは出きるけど好きな人は誰かだなんか言えるわけがない、先輩の事が好きだなんて。 「ひ、秘密です」 「それなら良いけど お前彼氏が出来たらぜってーあの写メ消せよ」 「あ、はい。わかりました」 もし私に勇気があったら先輩に告白できるだろうか? これから一緒に過ごせる可能性は何%だろうか。 「何悩んでる顔をしてんだよ」 「悩み事があるんですよ」 「ふーん…それってその好きなヤツの事で悩んでんの?ばっかみてぇ」 「え?何でわかるんですか?」 「お前はすぐ顔に出るからだよ」 「あ…」 「前にも言っただろ?」 「そういえば…」 「まあ…いいや」 先輩には何でもお見通しなんだ。嘘を吐いても見破られてしまう。 「先輩」 「ん?」 「顔に出ない方法とかありますかね?」 「…無いんじゃね」 とりあえずこれから私は顔に出ないようにしたいと思った。 |