1mルール | ナノ
 


朝起きて洗面所の鏡で自分の顔を見てびっくりした。
なぜかというと昨日散々泣いたせいで目のまわりが真っ赤で瞼も腫れていたからだ。

こりゃ酷い…
と自分で思うくらいだから他人が見たらなんて思うことだろうか…

とりあえず私は瞼を冷やし始めた。


本当こんな顔他人に見られたくない。
特に先輩には…

そうだ。今日は任務以外部屋からでないようにしよう
先輩に会ったら逃げればいい。

そんなくだらないことを考えてしまう自分が少し嫌になる。

逃げたってダメなのはわかってる。
けれど私は先輩に会う勇気すら持てない弱虫。

人を平気で殺せるくせにたかが恋ごときで人を怖がる女なのだ。

――――


任務に行くため今日初めて部屋の外に出た。
目の腫れはおさまったのでもう人に見られても大丈夫であろう。

「…大丈夫」

誰もいない廊下でそう呟いて自分に言い聞かせる。
今日の任務に先輩はいないから大丈夫、いつも通りの私でいれば。

よし…
大丈夫。


「ちょっとあんた何やってるんですかー?もうすぐ出発時間なんですけど」

「はいはい
今、行くから」


私はフランが迎えにきたことに戸惑いながらそう答えると急いでフランの元に向かった。

「しっかりしてくださいよねー
ったくミーが何でわざわざ」

「ごめん、ごめん」

「そんなことより早く車に乗ってくださいよー」

「うわぁ…っと」

フランはそう言って車のドアを開けると私を無理やり車内に押し込んだ。

おかげであちこちが痛い。

「ちょっとフラン何で押し込むのよ!」

私が文句を言うとフランはめんどくさそうに…

「あんたがトロいからですよー」

と言いながら車内に入ってきた。

「だからって押し込むことは」


私がそう言った瞬間だった。
車内にいないはずの声が聞こえてきたのは…


「お前ら喧嘩すんなら車から降りろよ
うるせーんだよ」

「え……先輩?」

私が恐る恐る隣を見るとそこには先輩が座っていた。

何で先輩が…と不思議そうな顔をしていたからなのか…

「今日、隊長は急用ができて来れないので
暇で暇で可哀想なセンパイが代わりに来ましたー」

とフランが教えてくれた。
おかげでフランは先輩からナイフを投げられた。
まあいつものこと。でも車内でナイフ投げるはやめてほしい。

「お前はいちいち余計なこと言うんじゃねーよ」

「暇なのは事実じゃないですかー」

なかなか口論が終わらないので二人の間に座っている私は少しハラハラしたがしばらくすると二人とも疲れたのか静かになった。

そういえば、なぜか私
先輩と話しても大丈夫みたいだ。
多分、任務に私情は禁物と思っているからなのだろう。

ちなみに今回の任務は明日行うことになっているので今日は自由。

今日は先輩のそばにいたくないからホテルに着いたら一人で部屋に閉じ籠ろう。
それが一番…
一番、安心なのだから。

―――――

ホテルに着くと私たちは各自自分の部屋へと向かった。

「じゃあ…また後で」

私が部屋の前でそう言うとフランは返事をしてくれたが先輩は返事をしてくれなかった。


「はい、また後で会いましょう」

「…」


「じゃあ私そろそろ部屋に入りますね」

フランは先に部屋に入ってしまったので先輩と二人でいるのが気まずくなり私も部屋に入ろうとした。
その時…

「待てよ」

「え…?」

先輩は私の手をいきなりつかんだ。
私は本気で強くつかまれたせいで身動きが取れなくなっていた。

「お前今日オレのこと全然見てなかっただろ?」

「…え?何のことですか?」

私は、ばつが悪くなり目をそらした。

「とにかく明日
任務前に二人でどっか行こうぜ」

「それは…」

「しし、断るのは無理だからな
もう決定したから」


私は断ろうとしたのだが先輩に無理やり約束されてしまった。

明日…どうしよう。


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