1mルール | ナノ
 


「あ…」

「あ」

朝起きて部屋のドアを開けたら廊下にいた先輩と偶然会った。

「先輩、今日は非番なんですか?」

「そう。
あ、まさかお前も?」

「はい」

数日前までこんな会話ができるようになるなんて思いもよらなかった。
しかも朝から先輩に会えるなんて運がいい。
そういえば私、占い今日の運勢で一位だったっけ…
まさか占いが当たった?

「じゃあさ、お前
オレとデートしない?」

「デート!?」

思わず私の声は裏返ってしまった。
いくら今日がついてるからっていきなりデートって…

「しし、お前顔赤すぎじゃね」

「だって先輩がっ!」

恥ずかしい、でも幸せすぎて死にそう。

「何ムキになってんだよ
嘘に決まってんだろ、バーカ」

「ですよね…」

少し安心してしまった、残念なはずなのに。

「ったりめーだろ
お前にはデートなんか100年早いんだよ」

「じゃあ、私はこれで」

「ちょっと待てよ
デートじゃないけどオレと買い物行かねー?」

「買い物ですか
是非、御一緒させてください!」

「言っとくけど
お前はパシリとしてついてくんだからな」


「パシリだろうとなんだろうと先輩のお側にいられるだけで幸せです」




――――

とは言ったけど…

「やっぱりコレやめた
さっきのにする」

「あ、はい」

「やっぱりこっちにする」


「はい」

「やっぱやめた」


先輩は、かなりの我が儘で私はあちこち色々な店に付き合わされた。

昼食も食べずに。

先輩は私が知らないうちに私を置いて食べに行ったけど。

おかげで私は空腹のせいで吐き気がしてきた。
…そういえば朝食も食べてなかったっけ。
でもここで倒れたらかなりみっともない。
先輩の為だ耐えろ私
まだ頑張れる。

「お前疲れたの?」

「違いますよ。大丈夫です」

「とりあえずこれ食っとけ」

先輩はそんな私に見かねたのか飴を一つくれた。

「あ…飴ですか」

「文句あんのかよ
お前に空腹でぶっ倒られたらこっちが迷惑なんだよ
だから早く食え」

先輩はそう言うと私の口に飴を押し込んだ。

…甘い。
私の口の中に苺の甘い香りが広がった。


「先輩、これ苺飴ですか?」

「ったりめーだろ
いちいち聞くんじゃねぇ
てかお前何幸せそうな顔してんだよ
飴くらいで」

「先輩がくれたからですよ」

「お前やっぱり変なヤツ」

私がニコニコ笑っていたからか先輩は呆れてたけど私には最高の飴だったんですよ。
ありがとうございます、先輩。

でも私何か大切なことを忘れているような…

あっ!!

今日本当なら先輩のプレゼント買いに行く予定じゃなかったっけ
ヤバい。
まあ…まだ時間があるから大丈夫だよね。

…よし今度、絶対に買おう。



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