1mルール | ナノ
 


今日は非番だからやっと先輩へのプレゼントを買いに行ける。
私はうきうきしながら街へ向かった。

街はもうすぐクリスマスだからか、あちこち綺麗に飾り付けされている。

一般人は暢気だな…
まあ、それが当たり前なのだろう、
私たちとは違うのだから。

そんなことを思いながら私は目についた店に入った。

開店直後だからなのか人はあまりいなかった。

私はとりあえず店内を見渡してみた。
プレゼントにはマフラーをあげようと思っていたのだがなかなか良いのが見つからない。
…困ったなぁ
近場で良い店なんかあったかな。

私は店から出るとまた街をブラブラ歩き始めた。


――――

手当たり次第にあちこちの店に行ってみたが良いのがなかった。

どうしよう…

私は携帯の待受画面を見ながらため息をついた。

その時、私は手芸屋を見つけた。

そうだ!
自分で作れば良いんだ。

私はそう思うとすぐ手芸屋で毛糸と編み棒を買った。

ついでに初心者でも簡単に編める本も買ったし
先輩にプレゼントを無事贈れる。

22日まであと少ししか無いけど
集中すればギリギリなんとかできる。

いや、できなきゃいけないんだ。
早く帰ってマフラーを編まなきゃ…

私が店を出ると
もうすっかり日が暮れていて街のあちこちに飾り付けられたイルミネーションが点灯されていた。

私はイルミネーションに目を奪われて足が止まった。

ふとまわりを見渡すとイルミネーションを見に来たカップルだらけで。
…一人でいる私はどう見られているのだろうか。

すれ違うカップルたちは皆幸せそうな顔していた。

羨ましい。
私もいつか先輩と…なんて夢を頭の中で思い描いてみた。

でも先輩と私じゃ釣り合わないからなー。
この夢は叶わない夢。
そんなこと理解してるけど胸が苦しくなる。

…あ、いけない。
早く帰らなきゃ、私は慌てて時計台で時間を確認する。
良かった…まだこんな時間か。

私が安心して歩き出したその時だった
先輩とすれ違ったのは。

「あ、先ぱ…」

私は慌てて声をかけようと後ろを振り向いた。



「…っ」

だが私は驚いて声をかけるのをやめた。

だって先輩が女の人と歩いていたから。

それに私は私の知る先輩じゃないみたいで少し怖かったから。

私は先輩に会わないように静かに帰った。


――――

部屋に着くと私は今日買った物をクローゼットの中にしまった。
プレゼントなんてあげなくても良いじゃないか。
私はただの後輩なのだから。
私はそう自分に言い聞かせると
恋心を心の奥底へと閉じ込めた。



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