短編 | ナノ

※学パロ
ベルが教師設定。



午後の授業は眠い。

「ーーで、あるから…」

先生の声がまるで子守唄みたい。聞いてるだけで眠くなってくる。
別に授業が嫌いだったり退屈な訳ではない、今日みたいに天気のいい日の午後の授業はどうしても眠くなってしまう。

私は少し欠伸をして先生を見つめた。女子からの人気が高い先生で、前髪が長い所為で顔がよく見えないのだが噂では整った顔立ちらしいが…


「おい、苗字」

「…は、はい!」


私はこの先生が嫌いだ。なに考えてるかわからないし。それに…

「お前オレの話ちゃんと聞いてた?」


「え、あ…はい。勿論」

「ふーん
じゃあさ、この問題解いてみろよ」


先生は私のことが嫌いなのか、毎回こんなの誰も解けない!ってくらい難しい問題を私に解けと言ったりする。


「…うわ、無理無理無理無理無理。解けません」

「お前なら解けるって」

ニヤニヤしながら先生はそう言った。
この悪魔め…

「せ、先生…っ」

私が文句を言おうとした時、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。


「…今日の授業はここまで
おい、苗字」

「はーい?」

「放課後、ここに来い」

「え?」


私が驚いて口をあんぐりさせていると先生は私に近づいて来て教科書で私の頭を叩いた。

「痛っ」

「ボーッとしてっと次の授業に遅れるぜ?」


先生にそう言われたので私は時計を確認してみた。ヤバい、時間が…


「あっ…!
じゃあ、先生またあとでっ」

「ししし
またな、苗字
あ、廊下は走んなよ?」


あー、ムカつく。先生一言多いよ。私は小学生じゃないんだから、廊下は走らないよ…
…まあ、時計を見て焦った所為で少し走りそうになったけど。
それにしても、先生…放課後会いに来いとか私に何の用だろうか。私、何かしたっけ?

思い当たることがないんだけどなぁ…



そんなことを考えてる間に時間はどんどん過ぎていった。
そして約束の放課後。


「せんせー。約束通り来ましたよー」


私は教室のドアを二、三回ノックしながらそう言った。すると教室の中から「ん、入れよ」と先生の声が聞こえてきた。



「失礼しまーす」

「ちゃんと約束通り来て、びっくり」

「先生が怖いから約束破りませんよ、あはは…」

「へぇー…」

先 生 !
私が約束破ると思ってたのか、なんかムカつく。

「先生
私に用事ってなんですか?」

「ああ、そーいやそんなこと言ったっけ」

「はい?」

「特に用事ないんだよね」

先生は悪びれる様子もなく、しししっと笑うと私の頭をポンポンと叩いた。


「…っ、そうですか
じゃあ、私もう帰ります」

私がそう言って帰ろうとすると先生は無言で私の腕を掴んできた。私は突然のことに驚いて先生の手を振り払おうとしたが先生の力が強すぎて無理だった。



「先、生…?」

私が不安そうに話しかけると先生は私のことを抱き寄せた。先生はさっきからずっと黙ったままで先生の考えてることがわからない。何でこんなことするの?

「先生、ねえ、先生ってば
こんなとこ人に見られたら…」

「こんな時間にわざわざこの教室来るやつなんかいねーよ」


それを聞いて
あー、なんだ。よかったぁ!とはならない。
万が一という場合があるだろうが。それにさっきまで黙っていたのに急に喋り出すなよ。びっくりする。


「名前」

心臓がドクン、と跳ねたような気がした。先生は私のことをぎゅっと抱き締めると耳元で私の名前を囁いたのだ。


「な、なんですか…?」

「今日、ここに来いって言ったのは…」


先生の顔がぐいっと近づいてきた。やだ、近い近い近い近すぎ。私は恥ずかしさのあまり目を瞑った。

すると唇に何かが触れたと思ったら、ちゅっとリップ音が響いて唇から離れた。
私だって何が唇に触れたかわかる。

「せ、んせ…っ」

「こーゆーこと、わかった?」



先生はそう言うと私から離れた。あぁ、少し名残惜しいと思ってしまった私はバカだ。


「わかるわけないじゃないですかっ」

私はそう叫ぶとスクバをおもいっきり先生に投げつけた。


「痛っ
てめぇ…」

「どういうことか余計わからなくなったじゃないですか」


「…理解しろよ、名前」

「無理です」

「ったくお前は本当に馬鹿…」


「え?」

「お前と一緒に居たいとか思っちゃったんだよ」

「え?…えーと…つまり先生は私のこと」

「あー…お前黙れ」

「はい?」

先生は私の頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でた。本当、先生は何を考えてるかわからない。


でも、私は何故かそんな先生に心を奪われた。


「せんせ、」

「なんだよ」



「あの、その…私、暇ですし…
一緒居てあげますよ」


私がそう言うと先生はいつもみたいに笑った。