※学パロ
「スクアーロ!」 「あ゛ぁ?」 「みぃーつけたっ」 そう言って名前は後ろからスクアーロに勢いよく、ぎゅうっと抱きついた。スクアーロは倒れそうになったがなんとか持ちこたえた。 「う゛お゛ぉい…どうしたんだぁ?」 「スクアーロ!?私、喉渇いた!」 名前は満面の笑みでそう言った。 「う゛お゛ぉい…喉渇いたなら自販機で飲み物買え」 「財布忘れた!」 またしても名前は満面の笑みでそう言った。そんな名前を見てスクアーロは呆れたのか溜め息をついた。前々から彼女はよく忘れ物をする奴だとは思ってはいたがまさか財布を忘れるとは… 「だからスクアーロ…私にジュース買って」 「断るぜぇ」 「ひどっ」 名前はそう大声で叫ぶとスクアーロの顔をじっと見つめた。 「お願いスクアーロ 可愛い可愛い彼女の頼みなんだよ」 「……」 「…無言はやめて、辛いから」 名前は気まずそうに視線を逸らした。どうやら、このシーンとした静かな雰囲気が苦手らしい。ちなみにスクアーロはまだ黙ったままだ。 「スクアーロ…後でお金返すからぁ」 名前は泣きそうな声でスクアーロにお願いをしたがスクアーロは黙ってどっか行ってしまった。 名前にはスクアーロを追いかける元気なんか残ってる筈もなく、おとなしくその場に座り込んだ。名前は、あぁそういえば此所廊下だった。なんてことを座ってから気がついたが、まあいっか。と小さく呟くと制服が汚れるとか人の目とか気にしなかった。 「う゛お゛ぉい… なに座り込んでんだぁ、名前」 「…おかえり、スクアーロ 喉カラカラで疲れたから座りましたー てか、スクアーロどこ行ってたの?」 「あ゛ぁ? オレは…その…」 「?」 「コレを買いに、だなぁ」 そう言いながらスクアーロは名前の頭にコトンと缶ジュースを置いた。 「スクアーロ!」 「今回だけだからなぁ…」 「ありがとう!スクアーロ大好きーっ」 名前は、勢いよく立ち上がるとスクアーロに抱きついた。スクアーロは驚いて「う゛ぉっ」なんて少し間抜けな声を出して名前を見つめる。 「さすがスクアーロ!私の自慢の彼氏だよ」 「そうかぁ?」 名前にそんなこと言われた所為かスクアーロは少し顔を赤らめていた。 「よし、さっそくジュース飲む!」 名前はわざわざ大声でそう宣言すると缶ジュースをごくごくと飲み始めた。 「あー…生き返った!スクアーロありがとね」 「礼はいらねぇ」 「えー」 お礼くらい言わせてよーと名前は不満そうに呟くとスクアーロは名前の頭をぽんぽんと撫でた。 「これからは財布忘れんじゃねぇぞぉ…」 「はーい」 名前は元気よく返事すると、またスクアーロに抱きついた。さすがにもうスクアーロは驚かなくなったのか今度は抱き返した。 たまにはこんな日もいいかもしれねぇなぁ、と思ったスクアーロでした。 次の日。 「スクアーロ!数学の教科書忘れたから貸して!」 「う゛お゛ぉい!!お前って奴はなんで忘れ物ばっかするんだぁ」 「だって…」 「だってじゃねぇ!!」 「ごめんなさいぃぃぃぃ 謝るから何でもするから 許して数学の教科書貸して…」 毎日続けて何かを忘れる彼女に さすがのスクアーロも今回は怒って数学の教科書を貸さなかったようです。 |