※学パロ
「好きです 付き合ってください」 何で好きでもない人に告白してるんだろう、私。 数十分前、私は友人達とゲームをしていた。でもただ普通にやっているだけじゃつまらないからって最下位の人が罰ゲームを受けるってどう?と友人の一人が言い出して…他の友人達も面白そうだからとやろうやろうと言い出して 私は仕方なく「いいよ、やろう」と言ってしまった。 罰ゲームの内容を知っていたら多分私は嫌だと言っていただろう。 罰ゲームは簡単に見えて簡単じゃない。 最下位の人は自分の一番苦手な人に告白する…なんて残酷な罰ゲームだろう。 そして私は見事最下位になってしまい 苦手な人…私の隣の席のベルフェゴール君に告白をしている最中なのだ。 「ずっと前から、あなたのことを見てました」 こんな事を言ってるが勿論嘘だ。 さあ、早く私をフッてくれ!私はそう強く思っていた。だが男の答えは予想外なもので―――… 「マジで?オレもなんだけど」 私は言葉を失った。 「しししっ これからよろしくな?」 男はそう言うと私の頬に軽くキスをした。私は急にそんな事をされたので慌ててしまい告白は嘘でしたと言うタイミングがわからなくなってしまった。 「あ、あ、あの…」 「ん?どーした?」 男の顔がぐいっと近づいてきた。ちょっと近い近い近い近い近すぎる。 私はパニック状態になってしまった。 「まさか照れてんの?」 「………」 私が答えないでいると男は私が照れていると解釈したのか突然… 「やべぇ…お前マジで可愛いー」 と言いながら抱きついてきたのだ。 「…!?」 「驚きすぎだし」 苦手な人にこんなことされてみろ、拒否反応が出る。そもそも私が何故この男の事が苦手なのかと言うとあれはそう1ヶ月くらい前の事だ。席替えをして隣同士になったからよろしくと挨拶しようとした時だった。男は 「お前みたいにおどおどしてんヤツ見るとムカつくんだけど」 と私に向かって言ったのだ。それから私はこの男の事が苦手になったのだ。 私はてっきり男も私の事を苦手だと思っていたのだが… どうしてこの男は告白をOKしたのだろう。謎だ。本当に私の事を好きだったのだろうか? 「ベ、ベルフェゴール君?」 「ん?なに? てかベルでいいぜ オレ達恋人同士なんだし」 「えっと…恥ずかしいからそろそろ…」 「ああ、ワリー」 私に言われて気がついたのか男は私から離れた。よし、これで一安心。たくさんドキドキした所為で心臓が疲れた気がする。 「…ベ、ベル君」 「あ、オレ用事あるんだった ワリー…また明日学校で」 「あ、うん」 私の馬鹿。何が“あ、うん”よ! ああ、どうしよう。本当の事言えなくなっちゃった。 ―――――― 次の日から男は私によく話しかけてきた。話してみたら意外と面白くて楽しかった。お昼休みにお弁当も一緒に食べた。帰りも一緒に帰った。 いつの間にか私は男の事が苦手じゃなくなっていた。寧ろ、本当に好きになり始めた。 そんなある日の事。 私に罰ゲームをさせた友人達に呼び出され私は教室にいた。 「なに?話って」 私がそう言うと友人達は携帯を弄りながらニヤリと笑っていた。 「あんたさぁ…」 「よく罰ゲームしたよね」 「あはは…それは」 「あんたがさ、ベルくんと付き合ってんの あたしたちムカついてんの。わかる?」 「でも、罰ゲームの事言い出したのは…」 「なに?あたし達が悪いって言うの?」 「………」 「まあ、いいわ…ベルくんが あんたの告白が実は罰ゲームだって知ったら… どんな顔をするかなぁ?」 「えっ…」 友人達の顔を見て私は全て理解した。 ああ、全部バラしちゃったのか。 もう、あの男と一緒に勉強したり、お弁当食べたり、帰ったり出来なくなるんだ。そう思うと私は泣きそうになってしまった。 友人達が全部悪い訳じゃない。私だって悪いってわかってる。 でもこんなの… 辛すぎるよ。 そう思った瞬間だった。教室のドアが開いて男が入ってきたのは。 「名前はっけーん」 「ベル君…?」 「何で泣いてんの? ほら涙拭けよ」 男は前と変わらない態度で私に話しかけてきた。何で?全部知っちゃったはずなのに。 私が黙っていると男は私の腕を掴み、私達は一緒に教室から出ていった。 「ごめん、なさい」 私は俯いて泣きながら男に謝った。 多分許してはくれないだろう。酷いことをしてしまったのだから。 「オレ、知ってたから」 「えっ…」 「お前が告白してきた時から全部わかってたから」 「じゃあ、何で…」 「お前のこと好きだったから」 「………っ」 その言葉を聞き私は胸がズキリと痛んだ。 私は何て事をしてしまったのだろう。 「ごめんなさい」 「何で謝るんだよ」 「だって…私」 「ししし お前おどおどしすぎ オレ、怒ってないから」 「だって私、ベル君に」 「もーいいからさ 謝んなくても」 「………」 「名前」 「な、なに?」 「オレと一緒にいて楽しかった?」 「うん、楽しかった」 「そっか」 「もう、お別れだね」 「そうだな」 男は少し悲しそうにそう言うと私の頭を優しく撫でた。 ああ、もうこれでお別れなんだ。 そう思うと私は悲しくなってきてまた泣き出してしまった。 「泣くなって」 「…ごめん」 「謝んなって なあ、一つ聞いて良い?」 「いいよ」 「オレと一緒にいて色々一緒にやって オレのこと好きになった?」 「………うん。好きになった」 「なら良かった」 「…!?」 男は私の事を強く抱き締めてきた。私が驚いて男を見ると男は笑っていた。 「じゃあさ、オレ達別れなくてもいーじゃん」 私が驚いて声を出そうとすると男は私の口を自分の口で塞いだ。 |