短編 | ナノ

「フラン」

「なんですかー?」

「カエルの被り物…脱いでも大丈夫なの?」

「大丈夫ですよー
堕王子は二、三日任務で帰ってこないですし」

「だけど」

「名前はミーが被り物脱ぐのがそんなに嫌なんですかー?」

「違っ」

「じゃあ、ぐだぐた言わないでくださーい」

ミーの彼女は心配性。
毎日心配しながら行動している。
まあ、任務の時は心配する暇なんかないから普通だけど。任務が終わるとスイッチが入る。

「でも…」

彼女は不安そうな目でミーを見つめたのでミーは呆れてため息をついた。

「本当に大丈夫ですから心配しないでくださーい」

「…わかった」

彼女はそう言うと抱きついてきたからミーは彼女の頭を撫でた。そしたら彼女は満足そうに笑った。

「本当に仕方ない人ですねー」

「あはは…」

「笑い事じゃないですよー」

「だってフランが優しいから」

優しい?どこがだろう…ミーにはわからない。

どこが優しいか訊きたいぐらいだが彼女が嬉しそうだからミーは黙っていよう。

「名前」

「なに?」

「これ、名前が被ってくださーい」

「…うわっ」

ミーはカエルの被り物を脱ぐと彼女の頭に被らせた。もしかしたらミーより似合うかも。

「ちょっと重いですけど我慢してくださいねー」

「えっ…これはいったいどういうつもりなの?」

「名前の方が似合うと思いましてー」

「ベル先輩に見つかったらどうするの…」

「さっきも言ったでしょー?
堕王子は二、三日任務で帰ってこないって」


「だけど…」

「本当に名前は心配性ですねー」

「うっ…
てかこの被り物の重いしっ!」

そう言うと彼女は被り物を脱いだ。
ちっ、似合ってたのになー。

「あーあ…」

「フランの意地悪!フランなんか嫌いっ!」


意地悪、か…
まあ、確かにミーは意地悪だ。彼女を見てると困らせたくなるから仕方ない。
だから意地悪と言われても気にしないが嫌いって言われるのは嫌だ。


「名前…そんなこと言ってると後でどうなっても知りませんよー?」

「…あ、ごめん。嫌いじゃないから」

「えー?よく聞こえませんよー
すみません名前ー。今なんて言いましたー?」

「ちょっとフラン…!」

彼女の怒った顔はレアだ。滅多に顔は怒らないのに今日は珍しいなー。まあ、ミーがわざとらしい言い方をしたのが原因ですけど。

「怒らないでくださいよー
怖いなー」


「…もうフランなんか知らない」

「ミーがいないと不安な癖に…そんなこと言ってるとミーどっかに行っちゃいますよー?」

「…行かないで」


「行きませんよ」

ミーは彼女が好きで好きで仕方がない。
彼女のすべてが愛しい。
だから、ミーは彼女の色んな顔が見たい。怒った顔や笑った顔や心配で心配で泣きそうな顔、全部全部見たい。
彼女はミーのものだから。

愛してますよー…名前