「なに、フラン
あの先輩が好きなの?」
「げっ」
廊下を歩いたらフランを見つけたので声をかけようと、そーっと近づいてみたら…
フランが窓の外をため息つきながら見ていたので何かと思ったら、見覚えのある美人な先輩が窓から見えた。
私は、直感的にフランはあの先輩が好きなんだろうなと思った。
「フラン?」
「…ななし、いつから」
「さっき」
「………」
「ねえ、フラン
あの人のどこがいいの?」
「全部、って言ったら笑いますかー」
そう言うフランの目は完全に恋してる人の目で私の入る隙間なんかないんだろうな、と思った。
私は初めて会った時からフランが好きだった。所謂、一目惚れってやつ。それから暇さえあればフランを見ていたんだけど、まさかフランに好きな人がいたなんて…今まで気がつかなかった。
「告白とかしないの?」
「そりゃ、したいですけどー」
今は無理ですねー、そう言うとフランは窓の外を見て悲しそうに笑った。
窓の外にいる先輩の横には男の人。ああ、そっか…先輩には恋人がいるんだ、だからフランは…。
フランの気持ちを考えると胸が締め付けられたように痛くなった。片思いの辛さは私にもわかるから。
「フラン、あの」
「ミーこんなに人を好きになったの初めてなんですよー。びっくりするほど笑えちゃうでしょー」
「フラン…」
「なんで、先輩の隣にいるのがミーじゃないんだろう」
弱々しい声でフランはそう呟いた。フランの顔見ると、目にはうっすら涙が。
ああ、こんなにもフランに想われている先輩が羨ましい。
「フランの気持ちわかるよ」
お願いだから、泣かないで。貴方が泣いているのを見たくない。ああ、こんなにフランを悲しませている先輩が憎い。
「ななしに慰められてるようじゃ、ミーもおしまいですねー」
「フランのばか。もう慰めてやらない」
「冗談ですよー、冗談」
いつもと変わらないようだけど何か違う。
そんなフランを見てるのが辛い、辛いよ。
「ななしと話していたら元気が出てきましたー」
隊服の袖で涙を拭いながらフランはそう言った。
「そう?よかった…」
「はいー。さてと、ミーはそろそろ……ななし?」
「なに?」
お願いフラン
早く私の前から居なくなって、そうしないと私…
「何で泣いてるんですかー?」
「だっ、て…」
仕方ないじゃない。自分でもわからないけど涙が溢れ出ちゃったの。
嫉妬とか、色々な感情がぐちゃぐちゃに混ざりあって自分でもよくわからない。
「ななし…」
フランは私の頭を優しく撫でてくれた。
やめて、優しくしないでよ。私が泣いているのは誰のせいよ。
「フ、ラン」
「大丈夫ですか…?」
フランは心配そうな顔をして私の見つめた。
ねえ、フラン
もし私が思いを伝えたら貴方はどうする?
「なんで、あの人がいいの…」
「え?」
「なんで、私じゃないの…っ」
フランを困らせたい訳じゃないけど私の気持ちは止まらなかった。
私は泣きじゃくりながらフランに気持ちをぶつけた。
「ねえ、フラン…っ
わたしに、恋しちゃえばいいよ…」
そしたら幸せにしてあげれるのに。
私がそう言うとフランは無言で私を抱き締めてくれた。ああ、やっぱりフランは優しいな。でも、私を抱き締めているくせに私を愛してくれないんだから狡い。
でも、そんなフランに甘えている私は…
きっと、もっと狡いよね。
大好きよ、フラン。