4万打 | ナノ




「おーじさま
お姫さまが退屈してます」

「お姫様なんか見当たらねぇけど」

「ここにいるじゃん!!」

夜中に突然オレの部屋にやって来た彼女。馬鹿みたいにテンション高くて正直うるさい。

「で?用は何だよ」

「だからお姫さまが退屈してます」

「はぁ…何が退屈だよ、バーカ
お前朝イチで任務行くんじゃなかったのかよ」

「仕方ないじゃん
退屈なんだもん」

「自分の部屋に帰って寝ろ」

そう俺が冷たく言ってるのに彼女はオレの腕に引っ付いて
なかなか帰ろうとしない。
普段の彼女なら、そろそろ帰るはずなのに今日の彼女はしぶとい。


「少し、少しだけでもいいからベルと話したい」

今にでも泣きそうな声で彼女はそう言った。もう帰りそうにも無いし、少しだけなら…と思い
オレは渋々、彼女を部屋に入れた。

「少しだけだからな」

「はいはいー…」

彼女はオレの部屋に入ると一目散にベッドに向かい横になった。

「…オレのベッドで寝んなよ」

「えー…」

「ったく、図々しいんだよ
お前は」

「ベルだって私のベッドで寝たりするじゃん」

「オレはいいの、王子だから」

オレがそう言うと彼女は納得がいかないとでも言いたそうな目でオレを見た。

「あー…もうわかった
オレのベッド好きに使えば」

「ありがとう、ベル!愛してるよ」

「はいはい、オレも」

オレが適当に返事すると彼女は気に入らなかったのかオレの腕をぐいっと引っ張った。
オレをベッドに引きずり込んだ彼女は何やら満足そうな笑みを浮かべている。

「ななし…、調子乗んなよ」


「一緒寝ようよ、おーじさま」

「ししし、ヤだね。お前寝相悪ィから」

「いいじゃない、たまには」

そう言って彼女はオレに抱きついて離れない。あぁ、全く彼女ときたら…


「今日だけ、だからな」

「ふふ、ありがとう」

彼女はそう言うとオレの頬を優しく撫でた。


「ななし」

「なあに?」

「キスしてぇ」

オレはそう呟くと、彼女の返事も聞かずにキスをした。
すると彼女は嬉しそうに笑いながら
「もっと、キスして」
とオレの耳元で囁いた。


「言われなくてもしてやんよ」

「今日のベル
やさしー……んっ」

オレは彼女の言葉を遮るかのようにキスをする。オレは彼女の口に自分の舌を無理矢理入れ、彼女の舌に絡ませた。


「んん…っ」


深いキスに慣れていない彼女は苦しそうな声をあげた。ああ、なんて良い声だろう。

オレは彼女の背中を優しく優しく撫でた。すると彼女はびくっと震えた。彼女の反応が可愛らしくて、思わず笑いそうになった。

何分かキスをしていると彼女が苦しそうな顔をしたのでオレは彼女の口から離れた。

「……はぁ…っ、べ、る…」

彼女は頬を赤く染め、少し潤んだ目でオレを見上げる。ああ、もう一回キスしたいかも。


「お前さ
もう明日の任務休めよ」

「…ばか、休めるわけないでしょ」

彼女は恥ずかしそうにオレから目を逸らした。


「ななし、愛してる」

「私の方が愛してるもん」



もう絶対離したくないって思うくらい人を愛することなんか無い。そんなのは馬鹿らしいって思っていたオレだけど
彼女だけは、絶対離したくないって思うくらい好きになった。何でだろうな、自分でもわからない。

「ベル、」

「なーに?可愛いオレのお姫様」

「ぎゅってして」


「はいはい」

オレが抱きしめてやると彼女は満足そうに笑う。彼女の笑顔はずっと見てても飽きない。本当に可愛いらしい。
好きすぎておかしくなりそうだ。

「そういや、今日オレの部屋に来た本当の理由は何?」

「……怖い夢を見て」

「ししっ
そうなら早く言えよ」

「だって…」

「ししし、ななしって怖がりだったんだ」

「違っ…」

「そんなななしには…」

オレは彼女の前髪を捲って額に軽くキスをした。





「ししし、怖い夢を見ないおまじない」

「………」

「あり?おまじない嫌だった」

「違っ」

「?」

「もっと、おまじない、して…っ」

彼女は少し恥ずかしそうに言った。オレはそんな彼女がいとおしくてつい笑ってしまいそうになる。

「お安いご用」

オレはそう言うと彼女にまたキスをした。
けど、ああ…もう
キスだけじゃたりない。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -